支払調書は税務署が納税者の収入や支払い状況を正確に把握するために作成される「法定調書」の一部です。法定調書は事業者が特定の支払いに関する情報を税務署に報告するための書類です。
税務署は個人や法人の所得や支払い状況を把握し、正確な課税を行うための重要な資料としています。法定調書には63種類ありますが、その中でも「支払調書」は特に重要な役割を果たします。
支払調書によって個人や法人の所得が正確に把握され、税金が適切に課税されることが期待されています。支払調書の記載内容は非常に重要です。支払額や源泉徴収税額が正確に記載されていなければ後々に税務調査が入った際に問題が発覚する可能性があり、結果的に事業者や支払いを受けた側に不利益が生じることがあります。
そのため支払調書を作成する際には正確な支払金額や、源泉徴収を行った場合はその金額も明確に記載することが求められます。特に源泉徴収税額については税務署に報告する際に誤りがあると納税額に影響が出るため、注意が必要です。
支払調書を作成する事業者側にとってもこれらの情報を正確に管理し確実に税務署に提出することは、法令遵守の一環として重要な義務となっています。
そこで本記事ではこの支払調書に関する基本的な内容について詳しく解説し、記載すべき項目・計算方法・作成時の注意点についても触れていきます。支払調書の作成に不慣れな方や支払調書の基礎を理解したいと考えている方にとって、具体的で有益な情報を提供します。
支払調書の基礎知識をしっかり学び税務に関する手続きで困らないようにしておくことは、今後の事業運営にとっても重要なポイントとなるでしょう。
目次
1.支払調書とは?押さえておきたい基本事項
支払調書とは法人や個人に対して「誰に対して・どのような内容で・年間にいくら支払ったか」を税務署に報告するための書類です。
この支払調書は税務署が納税者の正確な支払い内容を把握するために用いる法定調書の一つです。法定調書は全部で63種類あります。
特に代表的なものとしては従業員の給与や役員報酬に関する「給与所得の源泉徴収票」と「支払調書」があります。その他、退職金支払時に作成される「退職所得の源泉徴収票」・租税特別措置法に基づく「特定口座年間取引報告書」・国外送金等調書法に基づく「財産債務調書」なども含まれます。
支払調書は税務署への提出義務があります。提出が義務付けられる支払内容や対象者は所得税法・租税特別措置法・相続税法などによって定められています。
法定調書の中で特に広く知られているのは「報酬・料金・契約金および賞金の支払調書」と「源泉徴収票」です。
源泉徴収票は年末調整後の給与所得や退職所得に関する支払を記載するもので、報酬・料金・契約金および賞金の支払調書は給与所得に該当しないフリーランスや専門家などへの支払内容を記録する書類です。
2.代表的な支払調書の種類とその内容
この章では「報酬・料金・契約金および賞金の支払調書」・「不動産の使用料等の支払調書」・「不動産等の譲受けの対価の支払調書」・「不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書」について説明していきます。
報酬、料金、契約金および賞金に関する支払調書
弁護士・税理士・社会保険労務士などへの報酬・原稿料・講演料などを支払う場合には、支払調書の提出が求められます。支払者はこれらの報酬を支払う際に所得税を源泉徴収しその支払額と源泉徴収額を1年間分記録し、税務署に提出する必要があります。
支払調書には報酬の種類・細目・支払金額・源泉徴収税額・支払者および受取者の住所や氏名などを記載します。詳細は次章で解説します。
不動産の使用料等の支払調書
不動産の使用料等の支払調書の提出義務は、法人または不動産業者として個人で活動している者に適用されます。
不動産の使用料、例えば事務所の家賃・権利金・更新料・礼金などが該当します。一時的な地代も含まれます。ただし法人への支払いについては権利金・更新料等のみについて提出が必要であり、家賃や賃貸料のみを支払っている場合は提出義務はありません。
敷金や保証金は通常返還されるものであるため、支払調書の提出義務はありません。ただし、敷金や保証金が返還されないことが確定した場合には、支払調書を提出する必要があります。
支払調書には不動産の種類(家屋・事務所など)・所在地・計算方法・支払金額・仲介やあっせんを行った者がいればその情報・支払者および受取者の住所と氏名などを記載します。
不動産業を営む個人で、主に建物の賃貸借仲介や代理業務を行っている場合は提出義務はありません。また同一の相手に年間支払額が15万円以下の場合は、支払調書の提出は不要です。
不動産事業を営む法人に支払う費用については権利金や更新料などの場合に限り支払調書の提出が求められます。賃借料のみの場合は提出義務はありません。
不動産等の譲受けの対価の支払調書
不動産等を譲り受けた場合でその年内に同一の相手に支払った金額の合計が100万円を超える場合、支払調書の提出が必要となります。不動産等の譲り受けには不動産の売買・交換・競売・現物出資・公売などを通じた取引も含まれます。
支払調書には物件の種類・所在地・数量・取得日・支払金額・あっせんを行った者がいる場合はその詳細・支払者および受取者の住所と氏名などを記入します。
また譲り受け代金に加えて補償金が支払われる場合には、その補償金の種類と金額を摘要欄に記載する必要があります。
不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書
不動産の売買や貸付に関連するあっせん手数料を同一の相手に対してその年に15万円を超える金額を支払った場合、支払調書の提出が必要となります。
ただし「不動産の使用料等の支払調書」や「不動産等の譲受けの対価の支払調書」の「あっせんをした者」の欄に必要な情報が記載されている場合には、提出を省略することができます。また不動産業を営む個人事業主で主に建物の賃貸借の代理や仲介を行っている場合には、提出義務は免除されます。
支払調書には支払の区分・支払確定日・支払金額・あっせんに関する不動産等の物件の種類・所在地・取引金額・支払者と受取者の住所および氏名などを記載する必要があります。
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3.支払調書の発行が必要なケース
この章では支払調書が必要となる主な場面について改めて説明します。
フリーランスなどの取引先に報酬や契約金を支払う際に、必ずしもすべての支払に対して支払調書が必要なわけではありません。支払調書の発行が必要なケースは所得税法に基づき判断されます。具体的には主に以下のようなケースが該当します。
原稿料・講演料などの報酬や料金
事業者がフリーランスなどの取引先に対して依頼した原稿・挿絵・写真・デザイン・著作権の使用・講演・教授・指導・脚本作成・版下作成・校正・通訳・翻訳などのサービスにおいて、同一の個人や法人に対する年間の支払額が5万円を超える場合には支払調書の提出が求められます。
弁護士や税理士など専門職への報酬や料金
事業者が弁護士・税理士・会計士・社会保険労務士・弁理士・中小企業診断士・司法書士・土地家屋調査士・海事代理士・測量士・建築士・不動産鑑定士・技術士などの専門職に依頼した業務において、同一の個人または法人への年間支払いが5万円を超える場合には支払調書の提出が必要となります。
社会保険診療報酬支払基金からの診療報酬
社会保険診療報酬支払基金が保険医療機関と健康保険組合の間で、同一人物に対して年間50万円を超える診察報酬を支払った場合には支払調書の提出が必要となります。ただし、健康保険組合や国民健康保険組合から支払われる診察報酬は対象外です。
外交員や集金人への報酬
保険外交員や集金人などへの報酬で年間の支払額が50万円を超える場合には、支払調書を提出する必要があります。
プロスポーツ選手や騎手などへの報酬や契約金
事業者が契約したプロのスポーツ選手(プロ野球選手・プロゴルファー・プロテニス選手・プロサッカー選手・プロレスラー・自動車レーサー・競馬騎手・競輪選手・モーターボート選手など)に支払う報酬・料金・契約金について、同一人物に対する年間支払額が5万円を超える場合には支払調書の提出が必要です。
ただし、プロボクサーの場合は年間支払額が50万円を超える場合に提出義務が生じます。
ホステスなどへの報酬や料金
ホステスなどの業務において同一人物に対する年間支払額が50万円を超える場合には、経営者は支払調書の提出が義務付けられます。ただし、芸妓の業務に関する報酬・料金やバーテンダーの報酬・料金は対象外となります。
またホステスに対してバーの経営者以外から支払われる報酬は源泉徴収の対象にはなりませんが、客からバーの経営者を通じて支払われる報酬については「バーの経営者がホステスに支払うもの」とみなされ源泉徴収が必要となります。
広告宣伝のための賞金や賞品
事業者が広告宣伝のために提供した賞金や賞品で、年間50万円を超える支払がある場合にも支払調書を提出する義務があります。
競馬の賞金
個人馬主や国内法人の馬主に対して競馬の賞金が支払われた場合、金銭として支払われた賞金は支払調書の発行対象となります。さらに1回の賞金が75万円を超える場合、その年に支払われた全ての賞金に対して支払調書を提出する義務が生じます。
このように、支払調書の発行は特定の報酬や料金に該当する場合に義務づけられています。
4.支払調書の提出義務がある理由
支払調書を提出する義務があるのは、税務署が納税者の税金申告が正しいかどうかを確認するためです。
税務署は支払調書を発行する義務を持つ者からこれを受け取ることで、支払いの流れを把握できます。この流れを把握することで報酬を受け取った者が行う申告内容と支払調書の情報を照らし合わせ、申告が正しいかどうかを確認できます。
さらに申告内容と支払調書を照合することで、源泉徴収が適切に行われているかもチェックできます。もし源泉徴収対象の取引で源泉徴収が行われていなければ、源泉徴収義務者に対して罰則が科されることになります。
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5.報酬料金に関する支払調書の書き方
「報酬、料金、契約金および賞金の支払調書」「不動産の使用料等の支払調書」「不動産等の譲受けの対価の支払調書」「不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書」など各種支払調書の書式は、国税庁のウェブサイトから手書き用と入力用のフォーマットをダウンロードすることができます。
この章では「報酬、料金、契約金および賞金の支払調書」の書き方について解説します。
支払いを受ける者
支払調書を作成する際には支払いを受ける者の住所(居住地)・所在地・氏名(個人名)または法人名などを契約書等で確認し、正確に記入します。屋号のみを記載することは誤りです。
「個人番号または法人番号」の欄には、支払いを受ける者のマイナンバーまたは法人番号を右端に揃えて記載します。ただし支払いを受ける者に支払調書の写しを渡す場合、マイナンバーを記載して交付することはできませんので、注意が必要です。
マイナンバーを記載するのは、税務署などの公的機関に提出する場合のみです。例えば「民間企業が個人に支払調書のコピーを渡す」場合など、マイナンバーを記載して交付することは許されません。
区分
原稿料・印税・翻訳料など、支払った報酬や料金の種類を記入します。印税については「書き下ろし初版印税」と「その他の印税」を明確に区別して記載する必要があります。
細目
以下のように分類して記載します。
印税:書籍のタイトル
原稿料:支払い回数
放送謝金・映画・演劇の出演料:出演した映画や演劇のタイトルなど
弁護士などの報酬・料金:担当した事件の名前など
広告宣伝目的の賞金:賞金の名称など
教授・指導料:講義名など
支払金額
1年間の中で支払いが確定したものを記入します。源泉徴収の対象とならない報酬や料金、または未払いの報酬や料金についても記入を漏らさないようにしましょう。支払調書を作成する時点で未払いのものがある場合は、それぞれの欄の上部に未払額を記入します。
源泉徴収額
1年間に源泉徴収すべき所得税と復興特別所得税の合計金額を記載します。支払調書作成時点で未払いがあり、まだ徴収していない所得税や復興特別所得税がある場合にはその未収税額を内書きします。
ただし徴収猶予を受けた税額は、この金額には含めません。
摘要欄
次の4つのケースに該当する場合は記載が必要です。
診療報酬のうち家族診療分は金額を記載し、金額の前に四角で囲んで「家族」と記載します。
災害によって被害を受け報酬や料金に対する源泉所得税および復興特別所得税の徴収猶予を受けた税額がある場合には、その税額を記載し金額の前に丸囲みで「災」と記載します。
広告宣伝の賞金が金銭以外の場合、内容や種類など詳細を記載します。
受け取る者が「源泉徴収の免除証明書」を提出した場合や法律上源泉徴収が不要である場合、その旨を記載します。
支払者
マイナンバーは、税務署などの公的機関に提出するための書類にのみ記載する必要があります。支払調書の写しを支払いを受ける本人に渡す場合その写しにはマイナンバーを記載してはいけませんので、その点に注意してください。
6.支払調書の提出手続き
支払調書の提出に関して、提出方法と期限について説明します。
提出方法の3種類
支払調書を税務署に提出する方法は、以下の3つがあります。
書面による提出
CDやDVDなどの光ディスクに記録した電子データの提出
e-Tax(国税電子申告・納税システム)を利用した提出
書面で提出する場合は税務署から送付された書類を使うか、国税庁のWebサイトから手書き用または入力用のPDFファイルをダウンロードして作成します。
e-Taxを使用すれば税務署に足を運ぶことなく、インターネットを通じて支払調書を提出することができます。e-Taxは、税の申告や法定調書の提出などをオンラインで行える国税の電子申告システムです。電子的にデータを作成して提出できるため、事務作業の効率化やペーパーレス化に役立ちます。
なお令和2年12月31日以前は法定調書の提出枚数が前々年で1,000枚以上ある場合、e-Taxまたは光ディスクでの提出が義務付けられていました。令和3年1月1日以降は法定調書の提出枚数が100枚以上の場合、これらの方法で提出する必要があります。
またかつてはe-Taxや光ディスクを使用して法定調書を提出する際には事前に承認申請が必要でしたが、令和5年4月1日以降はその申請が不要となりました。
提出期限
支払調書の提出期限は、原則として「支払が確定した年の翌年1月31日まで」です。たとえば令和6年分の支払いに関する支払調書は、令和7年1月31日までに税務署に提出する必要があります。
もし提出義務があるにもかかわらず支払調書を提出しなかったり虚偽の内容で提出した場合には、所得税法に基づく罰則が適用されることがあります。
さらに給与などの支払いを受ける人に対して支払明細書を交付しなかった場合や虚偽の内容で交付した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処される可能性があります。
7.支払調書作成時のポイント
支払調書を作成する際には、押さえておくべき重要な点があります。これらのポイントをしっかり理解することで、支払調書に関する知識をさらに深めることができます。
支払先への支払調書提出は義務ではない
支払調書を支払先に交付する義務は法律上ありません。しかし、商習慣として交付されることが一般的です。そのため、支払先に支払調書を渡さなくても罰則は科されません。
一方で、支払調書は税務署への提出が義務付けられています。提出期限内に税務署へ提出しなかった場合は罰則が適用されるため、期限を守ることが重要です。
未徴収の金額も忘れずに記載
支払調書に記載する源泉徴収額は、その年度内に徴収すべき税額を記入します。
したがって支払調書作成時点で未払いがある場合は、源泉徴収が行われていない税額も含めて記載して未払い額と未徴収額を内訳として併せて記入します。
支払金額は消費税を含めて記入
消費税が明示的に分けられている場合、消費税を除いた金額に基づいて源泉徴収を行うことが認められています。ただし支払調書の「支払金額」欄には、原則として消費税を含む総額を記載することが求められます。
マイナンバー記載時は本人確認が必須
支払調書にマイナンバーを記載する際には、その番号が正しいかどうかを確認する(番号確認)とその番号が適切な人物に所属するかを確認する(身元確認)が求められます。
「マイナンバーカード」を所持していれば、これらの確認を一度に行うことができます。もしマイナンバーカードを持っていない場合には「通知カード」や「マイナンバー記載の住民票の写し」を使って番号確認をし、身元確認は「運転免許証」などを用いて行います。
支払調書は原則個人事業主などの支払先に交付する義務はありませんが、通常は控えを渡すことが多いです。ただし個人番号は記載せずに渡さなければならないため、税務署に提出するものと同じ書類をそのまま渡すことはできません。個人番号部分は消去してから渡す必要があります。
またマイナンバーは12桁で法人番号は13桁の番号体系となっているため、独自のフォーマットを作成する場合は13桁に対応できるようにしておきましょう。
支払調書を作成する際には特別な計算が必要なわけではなく、1年間に源泉徴収した金額の合計を記入するだけです。しかし未払いの金額や未徴収の税額についても記載し、マイナンバーの確認には本人確認と番号確認が必要である点に留意することが重要です。
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8.支払調書に必要なマイナンバーや本人確認の理解を促すポイント
従業員からマイナンバーを取得することはもちろん必須ですが、税理士や弁護士に報酬を支払う際や不動産の賃貸契約を結んでいる大家さんに提出する支払調書にも実はマイナンバーが必要となります。これは意外と認識されていないことが多く、当人もその必要性を理解していないケースがしばしば見受けられます。
したがって経理部門がどのようにしてこのことを周知し、適切に対応するかを説明します。
使用目的をはっきり伝える
マイナンバーに対して不安を抱いている人が多いため、その使用目的をしっかりと説明することが重要です。不動産の使用料や報酬などの支払調書にマイナンバーが必要であることを、明確に記載するようにしましょう。
収集が法的義務であることを説明する
企業は、マイナンバーを収集することが法的義務であることを明確に示す必要があります。
保管方法を具体的に示す
相手がこちらのセキュリティ対策に不安を感じている場合が多いため、データの保管場所・管理方法・セキュリティ対策が確実であることを明確に伝える必要があります。
収集するタイミングを明確にする
マイナンバーの提出期限を明確にすることが重要です。税務署への提出期限は翌年の1月31日までですが、金額によっては支払調書の提出義務が免除されることもあります。しかし提出が遅れると準備に時間がかかり、結果的にスケジュールが厳しくなるためできるだけ秋頃までに集めることを目標にするのが適切です。
収集手段をわかりやすく説明する
マイナンバーはサラリーマン以外の人々にはまだ十分に浸透しておらず提出方法が分からない方も多いため、フローチャートなどを用いて必要な書類を明確に示すことが重要です。
9.支払調書に関するよくある質問
支払調書に関してよく寄せられる質問は以下の通りです。
支払調書はいつ手に入るのか?
年末調整や確定申告で支払調書は必要なのか?
支払調書と源泉徴収票の違いは何か?
支払調書の発行に関する疑問や悩みは少なくないと考えられます。この章では、どのような疑問や問題がよくあるのかを紹介します。
支払調書はいつ受け取れる?
支払調書は通常1月中旬から下旬の間に受け取ることができますが、発行が遅れる場合は2月に届くこともあります。万が一確定申告の時期になっても支払調書が届かない場合でも、報酬を受け取った側が自分で記録した内容を基に確定申告を行うことができます。
もし支払調書が届かない場合は、催促すれば通常は送付されます。しかし支払調書の発行は支払い先に義務付けられていないため、発行されなくても罰則はありません。
年末調整や確定申告に支払調書は必要か?
年末調整や確定申告において支払調書の提出は必須ではなく、添付する義務はありません。実際支払調書がなくても収入や源泉徴収額が正確にわかれば、確定申告書を作成することは可能です。
支払調書と源泉徴収票の違いは?
支払調書は、その性質から「給与所得の源泉徴収票」と混同されることがよくあります。どちらも「労働に対する報酬を支払った相手に発行する法定調書」という共通点がありますが、両者には大きな違いが存在します。
まず給与所得の源泉徴収票は、事業者が雇用契約を結んだ従業員に対して発行するものです。一方支払調書は業務委託契約などに基づきフリーランスや取引先に支払った報酬に対して発行され、税務署に提出されます。
さらに給与所得の源泉徴収票は従業員本人に交付する義務がありますが、支払調書については報酬を受け取ったフリーランスや取引先への交付義務がない点も大きな違いです。
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10.まとめ
支払調書は企業が個人事業主や法人に支払った報酬額や源泉徴収額の合計を記載した書類です。
企業が個人事業主に対して支払調書を発行する義務はありませんが、支払調書は通常税務署に対して毎年1月31日までに提出する必要があります。また報酬の種類によって使用する支払調書が異なるため、どの支払に対してどの調書を使用すべきかを把握しておくことが重要です。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。