近年ではインターネットが発展し、私たちの生活に深く関わりを持っています。インターネットサービスに欠かせない存在とも言えるのが、「サーバーエンジニア」です。本記事では、サーバーエンジニアの平均年収や年収アップなどに関する情報を幅広く紹介します。
特に、以下の人にはこの記事をご一読していただきたいです。
サーバーエンジニアへの転職を考えている方
IT業界でキャリアアップを目指しているエンジニア
年収アップを目指しているインフラエンジニア
サーバーエンジニアにおすすめの資格について知りたい方
目次
1.サーバーエンジニアの平均年収
dodaが2023年に公表したデータによると、サーバーエンジニアの平均年収は454万円です。男性が473万円、女性が385万円でした。
(引用元:doda「平均年収ランキング(職種・職業別の平均年収/生涯賃金)【最新版】」)
国税庁が公表しているデータによると、2022年度における日本国内全体の平均給与は458万円です。つまり、サーバーエンジニアの平均年収は一般平均と同等の水準であると考えられるでしょう。
また、サーバーエンジニアの年収は経験やスキルによって大きく変化します。実力次第では、年収1,000万円の突破も十分に可能です。
なお、フリーランスでは月額単価60〜70万円前後が平均値となります。年収換算すると約720〜840万円です。(参考:フリーランスボード)
2.サーバーエンジニアとは
サーバーエンジニアとは、WEBサービスに不可欠なサーバーの設計から構築、そして保守管理までを担う専門家です。
近年では、DX化の進展やビッグデータの活用などにより、サーバー管理の重要性が高まっています。そのためサーバーエンジニアの需要も高まっており、広いフィールドでの活躍が期待できると考えられるでしょう。
サーバーエンジニアについて考えるにあたって、ネットワークエンジニアと混同してしまう方も多くいます。しかし両者は以下の通り別々の専門職です。
サーバーエンジニア:ネットワークを動かすアプリケーションを担う
ネットワークエンジニア:ネットワークとつなぐアプリケーションを担う
3.サーバーエンジニアの仕事内容
サーバーエンジニアの仕事内容は、主に以下の通りです。
サーバーの構築
サーバーの運用・保守
サーバーの設定
サーバーの構築業務では、クライアントのニーズと要件に基づき最適な形式でサーバー機器を実装します。また、物理的なサーバー機器を構築した後は運用と保守も重要な業務です。
何らかのトラブルが発生すれば、迅速に原因を究明して修正・アップデートしなくてはいけません。さらに構築したサーバー機器の各種設定を最適化することも、サーバーエンジニアの重要な仕事です。
4.サーバーエンジニアが「きつい・やめとけ」と言われるのはなぜ?
サーバーエンジニアについて調べている中で、「きつい」「やめとけ」などと言われて心配になった方もいるのではないでしょうか。「きつい」「やめとけ」と言われやすい理由としては、以下が考えられます。
夜間や休日を問わず働かなくてはならないこともある
絶えず勉強していく必要がある
サーバールームの労働環境が厳しい
サーバーは24時間365日いつでも稼働させておく必要があり、トラブルがあればいつでも速やかに対応して解消しなくてはいけません。そのためには、夜間や休日を問わず働かなくてはならないこともあるでしょう。
また、ITテクノロジーは常に発展を続けており、サーバーエンジニアとして活躍し続けるには常に最新情報を学び続けていかなくてはいけません。新しい知識に対して好奇心を持ち続けられないと、サーバーエンジニアとしての仕事がきついと感じられる可能性はあるでしょう。
さらに、サーバーを適切に管理する目的から、サーバールーム内は常に温度や湿度が低く保たれています。自己管理を万全にしておかないと、体調を崩してしまう可能性は十分に考えられます。
5.サーバーエンジニアの年収アップに求められる能力
この章では、サーバーエンジニアとして年収をアップさせるために重要な能力を以下の通り紹介します。
サーバーエンジニアの年収アップに求められる能力
クラウドに関する知識・スキル
セキュリティに関する知識・スキル
コミュニケーション能力(マネジメント能力)
自己管理能力
クラウドに関する知識・スキル
サーバーエンジニアに求められる能力としてまず挙げられるのが、クラウドに関する知識・スキルです。
サーバーの構築方法の多くが、近年ではクラウドに移行しているためです。現在クラウドを利用していない企業でも、今後移行される可能性は高いと考えられます。
特に近年3大クラウドサービスと言われている以下に関する知識は、学ぶ意義が十分にあるでしょう。
AWS
GCP
Azure
サーバーエンジニアとしての活躍を目指すなら、上記に関する勉強をしてみるのも1つの方法です。
セキュリティに関する知識・スキル
セキュリティに関する知識・スキルも、サーバーエンジニアの年収アップに求められる能力の1つです。
サーバーには、重要な情報が多く格納されているためです。サーバーが攻撃を受けたり不正が発生したりした際に大きな損害が発生しないように、セキュリティに関する学習は欠かせません。
サーバーエンジニアとしての市場価値を高めるためには、セキュリティに配慮したサーバー設計に関する知識の有無が重要です。
コミュニケーション能力
サーバーエンジニアの年収アップに欠かせない能力としては、コミュニケーション能力も挙げられます。
「エンジニア」と言われると、一人で作業を続けるイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、ほとんどのエンジニアは基本チームで仕事を行います。
そのため他のチームメンバーとのコミュニケーションは、業務上不可欠です。
特に、今後マネジメント職を担いたいといたいと考えている人にとっては、高いレベルでのコミュニケーション能力が必要です。
自己管理能力
もしフリーランスのサーバーエンジニアとして活躍しようと考えるなら、自己管理能力も欠かせません。
フリーランスは、納期や作品の品質を自分で守っていく必要があるためです。納期に遅れてしまうと、クライアントからの信頼を失う可能性もあります。
また、自己管理ができず体調を崩してしまうと、仕事ができずに収入が下がってしまう恐れもあるでしょう。
また、もちろん企業に勤めながらサーバーエンジニアを続けるにあたっても、スケジュール通りに業務を進めるために自己管理能力は必要です。
6.サーバーエンジニアの年収アップにおすすめの資格
この章では、サーバーエンジニアの年収アップにおすすめの資格として以下の5つを紹介します。
LinuC
CCNA・CCNP
AWS認定
Microsoft認定資格
ORACLE MASTER
LinuC
LinuCは、「Linux技術者認定試験」のことです。
LinuCを取得することで、リナックスを中心としたシステム構築から運用管理に必要なスキルを証明できます。Linuxの操作だけでなく、クラウドセキュリティやシステム構成ツール、監視ツールなどのスキルを学習可能です。
クラウド活用は近年のIT分野において非常に重要な要素であり、LinuCに挑戦する意義も大いにあると考えられます。
CCNA・CCNP
CCNA・CCNPは、シスコシステムズが運営しているネットワークに関する資格試験です。
サーバーエンジニアとしての活躍にはネットワークに関する知識が不可欠であり、取得によって転職や案件獲得において役立ちます。まずは基本試験であるCCNAに挑戦し、その後応用試験であるCCNPに挑戦すると良いでしょう。
CCNAについて詳しく知りたい方はこちらから、CCNPについて詳しく知りたい方はこちらから見れます。
AWS認定試験
AWS認定試験は、3大クラウドサービスの1つであるAWSに関する試験です。
AWS認定試験は以下の4段階に分かれており、自分に合ったレベルの試験を受けられます。
FOUNDATIONAL
ASSOCIATE
PROFESSIONAL
SPECIALTY
AWS認定試験を受けることでデジタルバッジの付与を受ければ、スキルの証明が可能です。認定者には限定コミュニティも用意されているので、今後の勉強に役立てられるでしょう。
AWS認定試験について詳しく知りたい方はこちらから見れます。
Microsoft認定資格
Microsoft認定資格(MDP)とは、Microsoft製品に関する知識やスキルを認定する資格試験の総称のことです。
中でもサーバーエンジニアにとっては、3大クラウドサービスの1つ出るAzureに関するものがおすすめでしょう。「Azure Fundamental」や「Azure Network Engineer アソシエイト」などさまざまな試験があり、自分のレベルや目的に合わせて選択可能です。
Microsoft認定資格について詳しく知りたい方はこちらから見れます。
ORACLE MASTER
ORACLE MASTERは、Oracle Databaseの管理に関する知識・スキルを認定する資格試験です。
ORACLE MASTERには以下の4段階があり、Gold以降の受検には1つ前のレベルの試験に合格している必要があります。
Bronze
Silver
Gold
Platinum
Oracle Databaseは、データベース製品市場において高いシェアがあります。Bronzeであれば未経験者でも挑戦できる内容であることから、受検を検討してみると良いでしょう。
ORACLE MASTERについて詳しく知りたい方はこちらから見れます。
7.サーバーエンジニアが年収1,000万円を目指すためのキャリアパス
この章では、サーバーエンジニアが年収1,000万円を目指すために考えられるキャリアパスについて以下の8パターンを解説します。
プロジェクトマネージャーになる
インフラエンジニアになる
ネットワークエンジニアになる
データベースエンジニアになる
ITコンサルタントになる
海外の企業に転職する
外資系企業に転職する
独立する
プロジェクトマネージャーになる
プロジェクトマネージャーとは、開発プロジェクトの管理・進行を行い全体をマネジメントする職種です。
プロジェクトの成否に大きく影響する重要な職種であり、プロジェクトマネージャーの責任も非常に重いものだと言えます。それだけに収入も多い傾向があり、サーバーエンジニアのキャリアアップの選択肢にあげられるでしょう。
ただしプロジェクトマネージャーになるには、エンジニアとしてのスキルだけでなくマネジメントに関わるスキルも学ぶ必要があります。
インフラエンジニアになる
インフラエンジニアとは、サーバーとネットワークに関する業務を担うエンジニアです。
サーバーだけでなくネットワークの知識・スキルも身につける必要がありますが、それだけに年収アップが十分に見込めます。ひとくちに「インフラ」と言っても幅広い領域があり、セキュリティやデータベースなど知識・スキルを身につけていくことで活躍の場が広がっていくでしょう。
ネットワークエンジニアになる
ネットワークエンジニアとは、ネットワークの設計から構築、保守運用など幅広い業務を担当するエンジニアのことです。
ネットワークに関してはサーバーエンジニアの領域でも扱うことが多々あるので、キャリアチェンジの選択肢として考えやすいでしょう。
インフラエンジニアになるためにはネットワークに関する知識は求められることから、ネットワークエンジニアに関する勉強をする意義は十分にあると言えます。
データベースエンジニアになる
データベースエンジニアとは、データベースの設計から構築、管理、運用などを行うエンジニアのことです。
データベースはサーバーに格納されていることから、サーバーエンジニアとの関連性が高い専門職の1つだと言えます。企業が扱うが扱うデータは膨大であり、データベースエンジニアは今後も重要であり続ける専門職の1つだと考えられるでしょう。
ITコンサルタントになる
ITコンサルタントとは、ITに関する知識・スキルを活かして企業の課題解決をサポートする専門職です。
サーバーエンジニアとしてチームリーダーの役割を担った経験があるエンジニアであれば、ITコンサルタントになる選択肢も十分に考えられます。
経営層の意思決定に大きく影響する役職であるITコンサルタントは、責任が重大である一方で年収も高い傾向があります。
海外の企業に転職する
年収をアップさせるという目的から考えると、海外の企業に転職することも重要な選択肢の1つだと言えます。
アメリカのシリコンバレーを中心として、海外には日本国内よりも高い報酬をエンジニアに用意する企業が多数存在するためです。実力主義の給与体系であることが多く、実力次第では年収を大きく上げることも期待できるでしょう。
サーバーエンジニアとしての実力を磨き、海外で働くことも魅力的な選択肢の1つです。
外資系企業に転職する
サーバーエンジニアとして日本国内で転職する場合、外資系企業に転職する方法が考えられます。
外資系企業で働く従業員は、年収が高い傾向があるためです。外資系企業の給与形態は、基本給に成果に応じたインセンティブを加算するものが一般的だと言えます。
インセンティブの割合が大きくなるほど、実力次第で高収入を得られるでしょう。
特に年齢がまだ若いうちは、日本企業に勤めるケースとの収入の差が大きくなると考えられます。
独立する
サーバーエンジニアとして年収を高めるためには、独立してフリーランスとして働くことも考えられます。
フリーランスであれば、実力と頑張り次第で収入を高めていけるためです。例えばフリーランスボードで公開されている案件の中には、月額100万円(年収1,200万円相当)や月額120万円(年収1,440万円相当)が実現可能な案件も存在します。
(参考:フリーランスボード)
ただし、独立してフリーランスとして働くと、収入はなかなか安定しない点には注意が必要です。自己管理を徹底して自己研鑽していかないと収入が増えない可能性もある点には十分に注意しましょう。
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8.サーバーエンジニアの将来性
サーバーエンジニアは、以下の点から将来性が非常に高い職種です。
多くの企業がDX化を進めている
IT業界全体が慢性的な人材不足に陥っている
クラウド移行してもサーバーエンジニアのニーズは減らない
現在では多くの企業がDX化を推進しており、システムの土台であるサーバーを扱うエンジニアの需要はまだ高まっていくと考えられます。多くの企業がクラウド化を進めていますが、サーバーエンジニアが担うべき領域は依然として残ると予想されています。
IT業界全体が人材不足に悩まされている状態であることからも、今後サーバーエンジニアの重要性は高まっていくと考えることが自然でしょう。
さらに、生成AIを含むAI技術の進展に伴い、サーバーエンジニアの役割は一層重要性を増しています。AIの運用には膨大なデータ処理やリアルタイム分析が求められ、これを支えるためにサーバーのインフラが強固でなければなりません。
また、AIモデルのトレーニングや推論には高い処理能力が必要であり、これを最適化するためのサーバー環境の設計・運用もサーバーエンジニアの領域に含まれます。
特に生成AIが多くの業界で導入される中で、サーバーエンジニアが持つクラウドやオンプレミスの管理スキルは、今後も不可欠であると考えられます。
9.サーバーエンジニアに向いている人の特徴
サーバーエンジニアに向いているのは、以下の特徴を持った人だと言えます。
課題解決に高いモチベーションを持てる
細かい作業が得意
メカニックが好き
サーバーエンジニアは、トラブルが発生した際迅速に対応しなくてはいけません。そのため課題解決に対して前向きに取り組める人でなければ大変な仕事だと言えるでしょう。
また、サーバーは24時間365日稼働し続けることが前提だと考えられるものであることから、細かい作業を地道に・丁寧に行えることも重要です。
さらに、サーバーエンジニアは物理的なサーバーを扱う職業であることから、メカニックが好きな人にも向いているでしょう。
10.未経験からサーバーエンジニアになる方法
この章では、未経験からサーバーエンジニアになる方法として以下の2点を紹介します。
独学
スクールの利用
独学
未経験からサーバーエンジニアになる方法としてはまず、独学でプログラミングを学ぶことが考えられます。
サーバーエンジニアになるための知識や情報は、自分でも十分に得ることが可能です。独学であれば自分の好きな時間に勉強できることから、働きながらでも十分にサーバーエンジニアを目指せます。
ただし分からないことがあって自分で解決できない場合、挫折につながる可能性がある点には注意が必要です。
スクールの利用
サーバーエンジニアになるための方法としては、スクールの利用も考えられます。
スクールであれば勉強のカリキュラムを決めてもらえるので、効率的に学べるでしょう。
不明点があればすぐに相談できる環境も、スクールに通う魅力です。ただし、スクールに通うにはお金がかかります。
半年で50万円程度の費用がかかることもあるので、予算はしっかりと組む必要があります。
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11.まとめ
サーバーエンジニアの年収相場は、一般的な給与水準と変わらないと言えます。ただし収入は実力や経験によって大きく異なり、年収1,000万円以上のサーバーエンジニアも十分に目指せます。
サーバーエンジニアとしての年収アップに効果的な資格や求められる知識・スキルを理解し、自己研鑽を続けることが大切でしょう。年収アップのためのキャリアパスも多数考えられることから、自分の適性や考えを大切にして考えることをおすすめします。
サーバーエンジニアは将来性が高い職種であり、多くの魅力にあふれています。今回お伝えした内容もご参考にしていただき、充実したキャリアにつなげてください。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。