ネットワークエンジニアは、企業のインターネット環境の基盤を作り支える重要な役割を果たす専門職です。ネットワークエンジニアへの転職を検討するにあたっては、仕事内容や求められる能力などさまざまなことが求められるでしょう。そこで本記事では、ネットワークエンジニアの仕事内容や求められる能力、年収などについて解説します。
特に以下の方には、本記事をご一読していただきたいです。
キャリアアップを目指して転職を検討しているネットワークエンジニア
異業種からネットワークエンジニアへの転職を希望している方
ネットワーク分野のスキルを活かして年収アップを目指している方
ネットワークエンジニアの年収について知りたい方
目次
1.ネットワークエンジニアの仕事内容
ネットワークエンジニアとは、コンピューターネットワークの設計から構築、運用などを幅広く担う専門職です。コンピューターを使ってスムーズに仕事を進められるのは、快適な通信環境が構築されているためだと言えます。
この章では、ネットワークエンジニアの仕事内容を以下の5つに分けて解説します。
要件定義
設計
構築
運用
保守
要件定義
要件定義とは、プロジェクトにおいて開発するシステムの目的や機能などを明確にする工程です。
クライアントの要望や条件をヒアリングし、実現するために必要な機能や性能などを開発者の目線からまとめます。どのプロジェクトも予算と納期が定められています。
そのため要件定義においては、限られた条件の中でいかに最大限のパフォーマンスを発揮できるかを考えることが重要です。
プロジェクトにおけるもっとも上流の工程であり、今後の流れを決める重要な仕事です。要件定義がプロジェクト全体の成否を決めると言っても、決して過言ではありません。
設計
設計の工程では、クライアントが求めるシステムのヒアリング内容を元にし、要件をまとめて設計図を作ります。
設計では、構成や優先するデータ、使用する技術や機器などさまざまなことを考えなくてはいけません。ネットワークエンジニアの設計工程においては、ネットワークの構成や使用する機器の種類・数、使用する回線などを考える必要があります。
ここでどのようなネットワークになるのか大筋が決定されることから、要件定義と同様に重要な工程であると言えるでしょう。
構築
構築の工程では、作成した設計図を基にネットワークを構築していきます。
ネットワーク機器の配置や設定、ケーブルの接続など、ネットワーク構築に必要なさまざまな作業を行っています。また「設置や接続をしたら完了」というわけではなく、機器がしっかりと動くのかテストして不具合があれば解消することも業務の1つです。
運用
運用業務とは、構築したネットワークを管理し、通常通り利用し続けられる環境を維持する業務です。
ネットワークを構築した後でも、必要なパソコン数が増えたり使用している機器が古くなったりと、ネットワーク維持のために対応しなくてはならないことは多々あります。また、クライアントから新たなニーズが出てくれば、機器の設定を変えなくてはならないこともあるでしょう。
保守
保守業務とは、運用を続けているネットワークに何らかの不具合が発生した際に、トラブルの原因を特定したり解消したりする業務のことです。
ネットワークが常に通常通り稼働し続けることは、クライアントにとって前提条件だと言えます。そのため万が一不具合が発生した場合は、可能な限り迅速に復旧させなくてはいけません。
24時間いつでも対応が必要になる可能性があり、夜勤や休日出勤などが発生するケースも十分に考えられるでしょう。
2.ネットワークエンジニアと類似職種との違い
この章では、ネットワークエンジニアと以下の類似職種との違いを解説します。
システムエンジニア
サーバーエンジニア
システムエンジニア(社内SE)との違い
システムエンジニアとは、コンピューター上で動くシステムの設計や開発などを行う専門職のことです。
ネットワークエンジニアとシステムエンジニアはどちらもコンピューターシステムに関する専門職ですが、担当する分野が以下の通り異なります。
ネットワークエンジニア:コンピューターのネットワーク構築
システムエンジニア:ソフトウェアやアプリなどの開発
サーバーエンジニアとの違い
サーバーエンジニアとは、サーバー(インターネットを通じてデータやサービスなどを提供するコンピューター)の構築や運用などを担う専門職です。
サーバーエンジニアは文字通りサーバーに関する開発を中心に行う職種であり、ネットワークエンジニアはサーバーも含めたコンピューターをネットワークでつなげる職種です。
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3.ネットワークエンジニアは未経験でも転職可能?
ネットワークエンジニアへの転職は、未経験からでも十分に可能です。
ネットワークエンジニアには、未経験でも対応できる仕事もあるためです。たとえば、キッティングと呼ばれる初期設定作業や機器の設置作業などは、経験が浅い人でも対応できます。
もちろんプログラミングに関する学習や就業の経験があった方が転職では有利だと考えられますが、文系・理系を問わず採用している企業も多数存在します。ただし他の分野と同様に年齢が高くなるにつれて即戦力人材が求められる傾向があることから、未経験者の転職にはIT関連の勉強や資格取得などが重要です。
4.ネットワークエンジニアに求められるスキル・能力
この章では、ネットワークエンジニアに求められるスキルや能力として以下の4つを紹介します。
コミュニケーション能力
論理的思考能力
ネットワークに関する知識
忍耐力
コミュニケーション能力
ネットワークエンジニアとして活躍するためには、コミュニケーション能力が求められます。
ネットワークエンジニアの業務では、要件定義や設計などにおいてクライアントとやり取りする機会が多くあるためです。クライアントのニーズをヒアリングにて引き出したりこちらの考えを明確に伝えたりするためには、高いレベルのコミュニケーション能力が必要だと言えます。
また、日常的な業務においてもプロジェクトメンバー間でやり取りする機会が多々あることも、コミュニケーション能力が重要である大きな理由です。「エンジニア」と聞くともくもくと一人で仕事をするイメージを持つ人もいるかもしれません。
しかし実際には、クライアントやチームメンバーとやり取りする機会は多いと考えられるでしょう。
論理的思考能力
論理的思考能力も、ネットワークエンジニアに求められる大切な資質の1つです。
要件定義や設計の作業では、最適なネットワークを構築するために論理的な思考が求められます。また、クライアントやチームメンバーの話を理解したりこちらの意見を正確に伝えたりするためには、論理的思考能力が必要です。
トラブル発生時にはクライアントと話をして調整を図る必要も出てくることから、常に論理的に考えて伝える習慣を身につけることが重要でしょう。
ネットワークに関する知識
ネットワークエンジニアに必要なスキルとしては、ネットワークに関する知識ももちろん挙げられます。
たとえば、以下のような知識は基本的に必要となるでしょう。
TCP/IP全般の基本知識
ルーティングの設定
設計スキル
クラウド化に関する知識
テクノロジーの進化・変化に合わせて、ネットワークエンジニアは常に新たな知識・情報を学んでいく姿勢が求められます。
忍耐力
ネットワークエンジニアは、忍耐力が必要な仕事だと言えます。
特に下流工程の仕事には、同じことを繰り返すような仕事が多いと言えます。ただし、地味であっても重要度が高く、責任は大きい仕事です。
IT環境の基盤を担う重要な仕事であることから、安定した作業が求められます。
一定のプレッシャーを感じながらも繰り返しの作業を粘り強く続けられる忍耐力の強さは、ネットワークエンジニアに求められる重要な資質でしょう。
5.ネットワークエンジニアへの転職で有利な資格
この章では、ネットワークエンジニアへの転職に有利な資格を以下の通り紹介します。
ITパスポート試験
基本情報技術者試験
ネットワークスペシャリスト試験
情報セキュリティマネジメント試験
CCNA
CCNP
ITパスポート試験
ITパスポート試験は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が運営している、ITを活用するすべての方に向けたITに関する基礎知識を証明できる国家試験です。
AIやIoTなどの最先端技術に関する知識だけでなく、ネットワークに関する知識も問われます。ネットワークエンジニアに限らず、ITに関する知識を全般的に身につけたい人にはおすすめの資格です。
より上位資格の取得を目指している人にとっても、基礎を身につける目的で挑戦する意義は大いにあります。
ITパスポート試験の詳細はこちらから確認できます。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験とは、情報処理技術に関する基本的知識やスキルを問う資格試験です。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が運営する国家試験であり、IT業界で働くための基本的な能力・知識を学べます。受験資格は特になく「IT人材の登竜門」「デジタル人材の登竜門」などとも呼ばれていることから、これから勉強を始める人の第一目標として適しているでしょう。
さらにITエンジニアとしての経験を積んだ人材には、「応用情報技術者試験」も用意されています。
基本情報技術者試験の詳細はこちらから確認できます。
ネットワークスペシャリスト試験
ネットワークスペシャリスト試験は、ネットワーク分野における高度な知識や能力を問われる人気の高い国家試験です。
基本情報技術者試験や応用情報技術者試験よりも高レベルに位置づけられる資格試験であり、取得によってネットワークエンジニアに求められるスキル全般を証明できます。それだけに試験難度は高いものの、ネットワークエンジニアとしてのキャリアアップを考えるなら挑戦すると良いでしょう。
情報セキュリティマネジメント試験
情報セキュリティマネジメント試験は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する国家試験です。
情報セキュリティリーダー向けの試験であり、応募者の大半が社会人である点は特徴的です。試験勉強を通じてセキュリティ分野やリスク管理などについて学べる試験であり、ネットワークエンジニアにもおすすめできます。
情報セキュリティマネジメント試験の詳細はこちらから確認できます。
CCNA
CCNAは、「Cisco Certified Network Associate」」の略称で民間資格「シスコ技術者認定」の1つです。
CCNA試験に挑戦することで、TCP/IPをはじめとする基本的なネットワークスキルの証明ができます。求人においてCCNAの保有を要件としているケースも多々あり、ネットワークエンジニアとしての転職を考えるなら取得しておきたい資格です。
CCNAの詳細はこちらから確認できます。
CCNP
CCNPは、民間資格「シスコ技術者認定」のプロフェッショナルレベルの試験です。
CCNA試験よりも難度が高く、試験勉強を通じてネットワークの設計や構築など高度なスキルを身につけられます。以下の5つの試験コースが用意されており、自分のキャリアプランに合わせて選択できる点が特徴的です。
CCNP Collaboration
CCNP Data Center
CCNP Enterprise
CCNP Security
CCNP Service Provider
CCNPの詳細はこちらから確認できます。
6.ネットワークエンジニアの年収
ネットワークエンジニアの平均年収は、400~500万円程度だと言われています。indeedが公表しているデータによると、日本国内のネットワークエンジニアの平均年収は493万2,083円です。(引用元:indeed)
国税庁のデータによると、2022年度における日本国内全体の平均給与は458万円でした。つまり、ネットワークエンジニアは一般平均と同等以上の水準であると考えられるでしょう。(引用元:国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査」)
フリーランスのネットワークエンジニアに関しては、フリーランスボードによると月額平均単価は69.2万円であり、年収換算すると830万円です。さらに月額80〜90万円、年収換算で960万〜1,080万円相当の案件も多くありました。(引用元:フリーランスボード)
上記を踏まえると、ネットワークエンジニアの年収は経験や実力次第で幅がありますが、フリーランスが高年収を獲得できることがわかります。
なおフリーランスに限らず正社員でも実力次第では1,000万円も十分に狙える職種だと考えられるでしょう。
7.ネットワークエンジニアのキャリアパス
ネットワークエンジニアのキャリアパスとしては、以下が考えられます。
ITコンサルタント
プロジェクトマネージャー
クラウドエンジニア
セキュリティエンジニア
ITコンサルタント
ITコンサルタントとは、ITテクノロジーを活用して企業の経営課題のサポートをする専門家です。
システムの見直しや導入、最適化など、企業のIT戦略に関するあらゆるポイントについてサポートします。ネットワークだけでなくアプリケーションやデータベースなど幅広い知識が求められることから、幅広い知識を身につけてキャリアアップしたい場合は良い選択肢だと言えるでしょう。
プロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャーは、プロジェクト全体の管理を行い完成までの責任を追う役職です。
プロジェクトのスケジュールや予算などを管理し、プロジェクトを成功に導くことが仕事だと言えます。責任が大きい仕事ですが、プロジェクトの成否に大きく影響する大変やりがいのある仕事であるとも言えるでしょう。
マネジメントの仕事に興味ある場合は、非常に魅力的な選択肢の1つです。
クラウドエンジニア
クラウドエンジニアは、クラウドシステムを活用したインフラ設計やクラウド環境の構築を行う専門職です。
構築後の保守運用もクラウドエンジニアの役割であり、クラウド環境に関する仕事全般を担当できる仕事だと言えるでしょう。近年ではクラウドサービスの利用を進めている企業が増加傾向にあり、今後も増えていくことが予想されます。
クラウドエンジニアのニーズも今後高まっていくと予想されるので、キャリアの選択肢に入れる意義は十分にあるでしょう。
セキュリティエンジニア
セキュリティエンジニアは、サーバーやネットワークなどのセキュリティ設計から構築、保守運用までを行うエンジニアです。
ネットワーク技術について学ぶうえで、セキュリティに関する知識は非常に大切です。そのため、ネットワークエンジニアとしての知識や経験も役立つことは多々あるでしょう。
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8.ネットワークエンジニアの将来性
ネットワークエンジニアは、以下の理由から十分に将来性がある職種だと言えます。
IT業界は慢性的に人材不足の状態である
クラウド化が多くの企業で進められている
多くの企業がDXかを進めている
AIの普及により、ネットワークインフラの最適化や自動化が進んでいる
IT業界全体が、現在既に人材不足の状態にあります。ネットワークエンジニアに関しても例外ではなく、今後も高いニーズが見込まれます。
また、多くの企業においてクラウド化やDXが進められているところであり、ネットワークのセキュリティ管理について高い需要があると言えるでしょう。
さらに、AI技術の進展に伴い、ネットワークのトラフィック分析や自動化の分野でもAIの活用が進んでおり、ネットワークインフラの効率化や障害予測が可能になることで、ネットワークエンジニアの役割がさらに重要になっています。
上記を踏まえると、ネットワークエンジニアは今後需要が高まっていくと十分に考えられます。
9.ネットワークエンジニアへの転職におすすめの転職エージェント・サイト3選
この章では、ネットワークエンジニアへの転職におすすめの転職エージェント・サイトを以下の通り3つ紹介します。
レバテックキャリア
レバテックキャリアは、ITやWebの分野に特化したサービスを展開している転職エージェントです。
ITに特化した運営で業界実績が10年と長く、企業の深い情報を把握できる点は特徴的です。年10,000回以上の企業訪問により、現場のリアルな情報を直接収集しています。求人掲載数は業界最大級の24,000件以上もあり、ネットワークエンジニアの案件も見つかりやすいでしょう。
Geekly(ギークリー)
Geeklyは、IT業界に特化した転職エージェントです。
IT業界の求人情報が36,000件以上と豊富にあり、制度の高いマッチングによって転職後の職場定着率も97%と高い数値を誇ります。IT業界ならではの悩みごとを理解しているので、親身になったサポートを期待できるでしょう。
マイナビIT AGENT
マイナビIT AGENTは、IT・Webエンジニアの転職に特化している転職支援サービスです。
IT業界・企業の転職市場に精通したキャリアアドバイザーが、豊富な求人の中から最適なものを提案してくれます。応募書類の添削・模擬面接はもちろん、応募先企業とのやり取り代行にしてくれるなど、効率的な転職活動に役立てられるでしょう。
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10.まとめ
ネットワークエンジニアは、コンピューターネットワークの設計から構築、運用などを幅広く担う専門職です。企業のネットワークの要件定義から設計、構築、そして保守運用までを全般的に担います。
企業のクラウド化やDXが進められている現状ではネットワークエンジニアのニーズも高まっていくと考えられるでしょう。ネットワークエンジニアに求められる能力やおすすめの資格を把握し、キャリアプラン作成にお役立てください。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。