R言語は、統計分析・データ分析などの仕事に用いられるプログラミング言語です。データを分析して得た内容を活かせる範囲は広く、今後もR言語を使えるエンジニアは活躍できるでしょう。しかし、なかには「R言語はオワコン」などの声もあり、将来性に不安を覚えるエンジニアもいます。
そこで本記事では、R言語が転職市場でどのように活かせるのか解説します。R言語の需要や将来性、年収についても解説するので、R言語を活かしたいエンジニアはぜひ参考にしてください。
目次
1.R言語の需要・将来性
R言語を転職で活かすには、まず需要や将来性について把握することがポイントです。以下では、R言語には需要があるのか、将来性に期待できるのか解説します。
R言語の需要は高い?
R言語とは、主に分析を行う際に使用されるプログラミング言語です。具体的には統計分析・データ分析・機械学習などの業務で、R言語が使用されています。データの重要性はあらゆる業界で認知されていて、大手企業もR言語を用いた分析を行っています。
具体的には医療・製造・教育・建設・金融・不動産などの分野で、R言語を使えるエンジニアが活躍しています。他にもGoogleやMeta(旧Facebook(フェイスブック))などの海外企業も、R言語によるデータ分析を実施している点に注目です。
R言語自体は1993年に開発が始まった、比較的古いプログラミング言語です。開発当初は学術研究の分野で活用されていましたが、現在は先の通り統計分析やデータ分析を得意とするプログラミング言語として知られています。
また、昨今はAIの開発業務でも活用できることから、さらに注目度が高まっています。統計分析・データ分析・AI・機械学習といった特定の分野で活用できる特徴があるため、R言語は需要の高いプログラミング言語だと言えるでしょう。
R言語エンジニアの平均年収
R言語エンジニアの平均年収は、Midworksのデータによると約476万円です。年代別の平均年収は、以下の数値になります。
20代:約476万円
30代:約569万円
40代:約753万円
50代:約575万円
国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」では、正社員530万円です。R言語エンジニアも働き方やスキル次第では、正社員の平均年収に近づける可能性があるでしょう。
フリーランスのR言語エンジニアの場合、「フリーランスボード」を参考にすると平均年収の目安は903万円です。「フリーランスボード」で確認できる案件・求人の月額単価の平均は75.2万円で、単価60万円台の案件・求人がもっとも多い結果になっています。
R言語とPythonの違い
R言語は対応できる領域が同じである「Python」と、比較されやすいプログラミング言語です。Pythonは簡潔にコードを書けるオープンソースの言語で、汎用性の高さからさまざまな職場で使用されています。PythonもR言語と同様に、AIや機械学習に活用される点が特徴です。
同じ領域で使用できるR言語とPythonですが、統計分析・データ分析においてはR言語の方が使いやすいです。Pythonよりも短いコードで記述が終わる点も、R言語を扱う理由になっています。一方で、Pythonの方が汎用性が高く、AIや機械学習以外の開発プロジェクトにも応用可能です。
例えばアプリ・ゲームなどの開発、ブロックチェーン技術の開発などにも、Pythonが利用できます。そのためエンジニアとして参画できるプロジェクトの幅を広げる際には、R言語だけでなくPythonを学ぶのも1つの選択肢です。
AI関係でR言語の将来性に期待されている
昨今のAI技術の発展に伴って、開発プロジェクトに参画できるR言語エンジニアの需要は高まっています。
AI関係の仕事は今後も増加すると見込まれるので、将来性のあるプログラミング言語の1つに数えられるでしょう。データサイエンスやビッグデータ解析にも注目が集まっている点も、R言語エンジニアの将来性を証明する理由になっています。
膨大な情報量を分析して、わかりやすくかつ応用しやすいかたちにまとめられるR言語エンジニアのスキルは、先の解説通り多くの業界で役立ちます。将来的にR言語エンジニアの仕事は増加し、特別な役割を与えられる職種になる可能性があるでしょう。
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2.R言語を活用した転職活動のポイント
R言語を学んだ経験や仕事で使用した実績は、転職時に活かすことが可能です。以下では、R言語を活用して転職活動を行うポイントを解説します。
R言語でできることを理解しておく
R言語を転職活動で活かすには、「R言語で何ができるのか?」を明確にしておくのがポイントです。「R言語が得意です」ではなく、「R言語が得意なので〇〇ができます」とアピールできる方が、採用される可能性を高められるでしょう。
例えばR言語は、以下の業務で活かせます。
データ分析を通して得た情報を使ったサービスの改善や新規事業の立ち上げ
購買データなどの分析による費用対効果や収益の向上
関数を使った行列の演算やグラフ作成
自然言語処理による頻出単語のチェックおよび関連性の分析
課題解決につながるデータの収集や加工 など
上記のような業務を任せてもらえる職場であれば、R言語の知識・技術を活かせます。転職活動時にR言語のスキルを持つことが、メリットになるでしょう。
R言語を扱う主なエンジニア職種を把握する
R言語は、R言語エンジニア以外の職種も使用するプログラミング言語です。どのような職種がR言語を使用する機会が多いのか知っておくことで、具体的な転職先を候補に挙げやすくなるでしょう。
例えばR言語の使用頻度が多いエンジニア職種には、以下の種類が当てはまります。
データアナリスト
データサイエンティスト など
データエンジニアは、システムの開発業務を担うエンジニア職です。AI・機械学習エンジニアは、コンピュータにデータを学習させたり、AIを搭載したシステム・アプリの開発をしたりします。データアナリストとデータサイエンティストは、与えられたデータを分析して課題や解決法を見つけ出し、具体的なプロジェクトを提案するのが役割になります。
R言語以外のプログラミング言語の習得を目指す
R言語は分析業務で活かせるプログラミング言語ですが、それだけでは担当できる業務範囲が狭まってしまいます。他のプログラミング言語も習得し、エンジニアとして活躍できるフィールドを増やすのも、転職活動におけるポイントになるでしょう。
具体的には、以下のプログラミング言語をR言語と一緒に学ぶのがおすすめです。
Python
Java
Ruby など
Python・Java・Rubyといった汎用性の高いプログラミング言語も習得することで、R言語が必要なシーンとは別の場面で使い分けて仕事を進められます。R言語の技術と組み合わせることも可能で、例えば収集したデータをJavaやRubyでCSV形式に変換し、その後にR言語で分析・整理を行うといった方法が考えられます。
関連資格を取得する
R言語を扱う業務に関連する資格を取得することも、転職活動に良い影響を与えます。資格そのものが評価されるだけでなく、取得までの過程で得たスキルをアピールできる点がメリットです。
R言語の関連業務で役立つ資格には、以下のものがあります。
3.R言語を学ぶメリット
R言語を学ぶことには多くのメリットがあり、未経験エンジニアにもおすすめできます。以下では、R言語を学ぶことで得られるメリットについて解説します。
シンプルで扱いやすい
R言語はコードや文法がシンプルなため、扱いやすいプログラミング言語だと言えます。早く作業を終わらせて、業務のリソースをコーディング以外に使ってスキルアップに励むことも可能です。Pythonでは5行以上の記述が必要なコードでも、R言語なら1行で済ませられます。
シンプルなコードは覚えやすいというメリットもあり、初心者でも勉強のモチベーションを維持しやすいでしょう。
データ分析を他言語よりも簡単に行える
R言語以外にも、PythonやJavaなどのプログラミング言語は、データ分析などの業務に使えます。しかし、R言語は他のプログラミング言語よりも、簡単に分析業務を行うことが可能です。R言語にはデータ分析を実行するための関数や、専門的な機能が最初から備わっています。
例えば「グラフ機能」を使うことで、分析したデータの結果を元に、各種グラフを簡単に作成可能です。円グラフ・棒グラフ・折れ線グラフなど、必要なグラフを選択できるため多くのシーンで活用できます。その他、R言語はさまざまな効果を持つパッケージも豊富です。
データの可視化ができる「ggplot2」、コードの可読性を高めるパイプ処理に使える「magrittr」、レポートにデータやグラフを当てこんで各種フォーマットに出力する「rmarkdown」など、便利なパッケージを使いこなすことでR言語をより有効活用できるでしょう。
各種OSで利用できる
R言語は、各種OSで利用できる点もメリットです。Windows・Mac・Linuxなどの主要OSすべてで利用できるので、職場の環境に合わせやすいプログラミング言語だと言えます。また、R言語はオープンソフトウェアなので、無料で利用が可能です。
4.R言語の学習方法
R言語より深く学びたい方や、初歩から学び始めたい方は、効率の良い学習方法を知ることがポイントです。以下では、R言語のおすすめの学習方法を解説します。
書籍やWebサイトを使って学ぶ
R言語も、多くのプログラミング言語と同様に書籍やWebサイトを参考にして学ぶことが可能です。R言語について解説したサイトを軸に知識を学んだり、専門書を使って体系的に学習を進めたりといった方法が考えられます。
独学で学ぶことになるため、自分のペースで勉強を続けられる点が書籍やWebサイトを使うメリットです。移動時間や隙間時間を活用して、少しずつ学習を進めることも可能です。
R言語を学ぶ際には、総合開発環境である「RStudio」の使い方を勉強するのもおすすめです。RStudioではデータの読み込みや保存、プログラム作成やパッケージの管理などが行えます。パソコンに直接RStudioをインストールする他、クラウドサービス「RStudio Cloud」を使う方法もあります。
統計データ処理の勉強も進める
R言語を扱う際には、統計データ処理の知識も必要です。数学の基礎や統計学などを学ぶことも、結果的にR言語の習得に役立ちます。R言語で統計データ処理について学べる書籍やWebサイトもあるので、初めてでもスムーズに専門知識の習得を目指せるでしょう。
R言語はエンジニア未経験でも学べる?
R言語は、エンジニア未経験の方でも一から学びやすいプログラミング言語です。上記の通り専門書籍やWebサイトから必要な知識を習得できるため、独学でも実務で応用できるスキルを身につけられます。
一方で、エンジニア未経験者がR言語だけを学んでも、就職・転職に結びつかない可能性が考えられます。R言語と同時にPython、Ruby、Javaなどのプログラミング言語を学び、幅広い業務に対応できるエンジニアであることをアピールするのがポイントです。
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5.R言語を活かした具体的な転職方法
R言語を活かした転職活動を行う際には、具体的な方法・流れを事前にチェックしておくのがおすすめです。以下では、R言語をアピールポイントにして転職する方法を解説します。
転職サイト・転職エージェントを活用する
R言語エンジニアとして転職をするのなら、まずエンジニア向けの転職サイト・転職エージェントに登録しましょう。R言語を必要としている案件・求人をスムーズに探せる環境を作ることが、転職活動の第一歩です。エンジニア向けの転職サイト・転職エージェントにも多くの種類があり、各サービスごとに特徴があります。
最初は複数の転職サイト・転職エージェントに登録し、自分の目標や技術レベルに合った案件・求人を保有しているサービスを見極めるのがポイントです。
例えば以下のサービスは、エンジニア向けの求人・案件を紹介してくれるサービスとして人気です。
レバテックキャリア
Geekly
マイナビITエージェント
ビズリーチIT
ウィルオブテック など
フリーランスエンジニアとして独立も可能
R言語のスキルを活かして転職を行う際には、フリーランスとして働く道も考えられます。R言語やPythonを扱えるスキルがあれば、案件・求人を探して企業と契約することも可能です。
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6.まとめ
R言語は、データ分析や統計分析をスムーズに行えるプログラミング言語として、需要を高めています。AIや機械学習の分野にも応用できるため、将来性のあるプログラミング言語の1つだと言えるでしょう。R言語のスキルや実績を活用することで、転職活動を本格的に進めることも可能です。
これまでにR言語を使ってエンジニア業務を経験してきた方や、新たにR言語を学んでキャリアチェンジを検討している方は、この機会に転職活動のポイントや学習方法を確認してみてください。
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本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。