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配偶者特別控除【年収早見表】いくら戻る?配偶者控除の違い・計算方法など適用条件をわかりやすく解説

公開日:2025/03/01最終更新日:2025/03/05

所得税の計算においては納税者ごとの状況を考慮し、公平に課税するための「所得控除」が設けられています。所得控除は15項目あり確定申告を行う際には、青色申告・白色申告を問わず総所得金額から控除することが可能です。これにより課税対象となる所得を減らせるため、実際に課される所得税の負担を軽減できます。


中でも配偶者に関連する控除として「配偶者特別控除」と「配偶者控除」があります。


そこで本記事では配偶者特別控除と配偶者控除の基本的な内容から、確定申告の手続き方法や万が一申告を忘れた場合の対応策まで詳しく解説していきます。


目次

1.配偶者特別控除とは?

配偶者特別控除とは扶養されている配偶者の所得に応じて、一定の所得控除を受けられる制度です。控除額は扶養者と被扶養者の合計所得金額により変動します。


被扶養者の合計所得金額が95万円以下の場合、所得税の控除額は配偶者控除と同じ額になります。その後被扶養者の合計所得金額が95万円を超えると、控除額は段階的に減少し133万円を超えると控除は受けられなくなります。簡単にまとめると、次のようになります。

  • 被扶養者の合計所得金額が95万円以下の場合: 配偶者控除と同じ控除額を受けられる

  • 被扶養者の合計所得金額が95万円超133万円以下の場合: 段階的に控除額が減少

  • 被扶養者の合計所得金額が133万円超の場合: 配偶者特別控除は適用されない

また扶養者(納税者)の合計所得金額が900万円を超えると控除額が減り、1,000万円を超えると配偶者特別控除は利用できなくなります。

2.配偶者特別控除を受けるための条件

配偶者特別控除を適用するには、いくつかの条件をクリアする必要があります。この章では、配偶者特別控除を受けるための条件について解説します。

納税者本人の年間所得が1,000万円以下であること

納税者の合計所得金額が1,000万円を超える場合、配偶者特別控除の適用は受けられません。

配偶者が特定の要件を満たしていること

配偶者特別控除を受けるためには、「配偶者」が特定の要件を満たしている必要があります。以下のすべての条件をクリアしていなければ、配偶者特別控除の適用を受けることはできません。

民法上の配偶者であること

民法上の配偶者とは、正式に婚姻届を提出して法律婚をしているパートナーを指します。内縁関係や同性婚の方は対象外です。

控除を受ける人と同一生計であること

同一生計であれば、たとえ単身赴任などで別居している場合でも問題はありません。

青色申告や白色申告の事業専従者ではないこと

青色申告の専従者給与を受け取っていたり白色申告の専従者控除の特例を受けている場合は、配偶者特別控除は適用されません。

年間の合計所得金額が48万円超〜133万円以下であること

配偶者の合計所得金額が48万円以下の場合は、配偶者特別控除ではなく配偶者控除が適用されます。

配偶者が配偶者特別控除を利用していないこと

配偶者特別控除は、夫婦のうち一方のみが受けることが可能です。夫婦がお互いに同時に配偶者特別控除を適用することはできません。

配偶者が他の親族の扶養に入っていないこと

配偶者が「給与所得者の扶養控除等申告書」または「従たる給与についての扶養控除等申告書」において源泉控除対象配偶者として記載されている場合、配偶者特別控除を受けることはできません。


例えば夫婦と両親が同じ生計で生活しており、配偶者が親の扶養親族として控除を受けているケースなどがこれに該当します。

配偶者が公的年金等の受給者の扶養親族として控除の対象になっていないこと

配偶者が「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」において、源泉控除対象配偶者として記載されている場合、配偶者特別控除を受けることはできません。


例えば、公的年金を受給している親の扶養親族として申告されているケースなどが該当します。

3.配偶者特別控除と配偶者控除の違いとは?

配偶者特別控除と配偶者控除の主な違いは、控除対象となる配偶者の所得金額です。

配偶者特別控除は配偶者の年間合計所得金額が48万円を超え133万円以下の場合に適用されます。一方配偶者控除は、配偶者の所得が48万円以下であるときに利用できます。


ただし、両者には共通する要件も存在します。以下にて詳しく解説します。

配偶者控除の適用要件

配偶者控除を適用するためには、納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下である必要があります。


さらに、配偶者控除を受けるには、配偶者が次の条件を満たしていることが求められます。

  • 法律上の配偶者であること(内縁関係の方は対象外)

  • 納税者と同一生計であること

  • 年間の所得が48万円以下であること

法律上の婚姻関係が成立していること

配偶者控除は、法律上の配偶者に該当する場合のみ適用可能です。事実婚・内縁関係・婚約しているが正式に結婚していない場合などでは、配偶者控除を受けることはできません。

納税者と同一の生計を立てていること

同一生計とは、納税者が配偶者と共に生活費や学費、医療費などを分担している状態を指します。そのため納税者が単身赴任などで別居している場合でも、配偶者が納税者の収入で生活していれば同一生計を維持しているとみなされます。

配偶者の年間所得合計が48万円以下であること

配偶者控除を受けるためには、控除対象となる配偶者の年間所得が48万円以下である必要があります。

配偶者が青色申告者の専従者給与を受け取っていないこと、または白色申告の事業専従者でないこと

配偶者が青色事業専従者給与を受け取っている場合や白色申告者の事業専従者控除の対象となっている場合、配偶者控除や配偶者特別控除を受けることができません。納税者が個人事業主の場合はこの点に注意が必要です。


また配偶者がその年の12月31日時点で70歳以上の場合、通常よりも多くの控除を受けられます。配偶者は「老人控除対象配偶者」として扱われ、控除額が増額されます。

4.所得税の計算方法を確認

所得税の計算方法は、「課税所得金額 × 税率 - 控除額」というシンプルな数式で表されます。しかし実際の計算にはいくつかのステップが必要で、特に2037年までは東日本大震災の復興を支援するために「復興特別所得税」も加算されるため通常の所得税額にさらに上乗せする必要があります。


2037年までは東日本大震災の復興特別所得税も加算されるため、所得税に復興特別所得税を別途計算して合算する必要があります。

【所得税と復興特別所得税の計算式】

  • 所得税額 = 課税所得金額 × 税率 - 控除額

  • 復興特別所得税額 = 所得税額 × 2.1%

これらの計算は所得税の速算表を活用することで、よりスムーズに進められます。次に、実際の計算手順を詳しく見ていきましょう。なお定額減税に関しては本記事では割愛します。

【所得税の計算手順】

  1. 年間の収入を計算する

  2. 年間収入から経費を差し引く

  3. 2.の金額から所得控除額を控除する

  4. 3.の課税所得に所得税の税率を掛ける

  5. 4.の所得税額から税額控除を差し引く

1.年間の収入を計算する

最初に、年間の収入を正確に把握することが重要です。個人事業主の場合には年間の売上などが収入にあたります。一方会社員・パート・アルバイトの場合は、給与収入だけでなくボーナスや各種手当も含めた年間給与の総額を確認します。

2.年間収入から経費を差し引く

個人事業主は収入から事業運営に必要な人件費・家賃・仕入れ代などの経費を差し引きます。これにより所得が算出されます。


会社員・パート・アルバイトの場合は、経費の代わりに「給与所得控除」を適用します。給与所得控除は給与収入の金額に応じて一定の金額を控除できる制度です。具体的な控除額は国税庁のWebサイトで確認することができます。

3.24.の金額から所得控除額を差し引く

経費または給与所得控除を差し引いた後の金額から、さらに所得控除額を差し引いたものが「課税所得金額」となります。所得控除は、納税者個人の事情に基づいて税負担を軽減するための制度で、全部で15種類あります。


配偶者特別控除・配偶者控除以外に代表的なものとして、以下のような控除があります。

  • 基礎控除:納税者の所得に応じて一定額を差し引けます。

  • 扶養控除:扶養家族がいる場合に適用されます。

  • 医療費控除:年間に一定額以上の医療費を支払った場合に利用可能です。

これらの控除を活用することで、課税対象となる所得を減らし、結果として納めるべき所得税額を低減することが可能です。

4.3.の金額に定められた所得税の税率をかける

課税所得金額に所得税の税率を掛けて所得税額を求めます。所得税率は速算表に記載されています。また、2037年までは所得税額に復興特別所得税の2.1%を加算する必要があります。

5.4.の金額から税額控除額を差し引く

税額控除は、所得税額から特定の金額を直接差し引くことができる制度です。配当控除・寄附金控除・住宅ローン控除などがあり、それぞれ控除額が異なります。


税額控除後の金額が、実際に納付するべき最終的な所得税額となります。


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5.配偶者控除および配偶者特別控除でいくら戻る?控除額の早見表

配偶者控除と配偶者特別控除の控除額は以下の通りです。

納税者の合計所得金額

配偶者の合計所得金額

配偶者控除額

配偶者特別控除額

900万円以下

48万円以下

38万円

-

48万円超95万円以下

-

38万円

95万円超100万円以下

-

36万円

100万円超105万円以下

-

31万円

105万円超110万円以下

-

21万円

110万円超115万円以下

-

38万円

115万円超120万円以下

-

16万円

120万円超125万円以下

-

11万円

125万円超130万円以下

-

6万円

130万円超133万円以下

-

3万円

133万円超

-

-

900万円超950万円以下

48万円以下

26万円

-

48万円超95万円以下

-

26万円

95万円超100万円以下

-

24万円

100万円超105万円以下

-

21万円

105万円超110万円以下

-

18万円

110万円超115万円以下

-

14万円

115万円超120万円以下

-

11万円

120万円超125万円以下

-

8万円

125万円超130万円以下

-

4万円

130万円超133万円以下

-

2万円

133万円超

-

-

950万円超1,000万円以下

48万円以下

13万円

-

48万円超95万円以下

-

13万円

95万円超100万円以下

-

12万円

100万円超105万円以下

-

11万円

105万円超110万円以下

-

9万円

110万円超115万円以下

-

7万円

115万円超120万円以下

-

6万円

120万円超125万円以下

-

4万円

125万円超130万円以下

-

2万円

130万円超133万円以下

-

1万円

133万円超

-

-

1,000万円超

-

-

-

(参照:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1195.htm)

6.配偶者特別控除の申請方法

配偶者特別控除を受けるには、年末調整または確定申告を通じて申告する必要があります。

それぞれの申告方法について詳しく説明します。

年末調整を行う場合

給与所得者(会社員など)の場合、配偶者特別控除は年末調整で申告します。その際勤務先に提出する「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」の「給与所得者の配偶者控除等申告書」部分に、配偶者の氏名・マイナンバー・生年月日・合計所得金額の見積額・配偶者特別控除額などを記入しましょう。

確定申告を行う場合

年末調整を行わない個人事業主などは、確定申告で配偶者特別控除を申告します。また年末調整で配偶者特別控除を申告しなかった給与所得者も、確定申告を通じて申請できます。確定申告書の所定の部分に、必要な情報を記入しましょう。

第一表「所得から差し引かれる金額」欄の「配偶者(特別)控除」

「区分」の□に「1」と記入し、その後控除額を記入します。

第一表「その他」欄の「配偶者の合計所得金額」

配偶者の総所得金額を記入します。

第二表「配偶者や親族に関する事項」

最初の行に配偶者の名前・マイナンバー・誕生日を記入します。


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7.配偶者の収入と所得税・社会保険料の関係

配偶者の収入を考える際に知っておくべきポイントが「年収の壁」です。年収の壁とは配偶者が所得税や社会保険料を支払う年収のことを指し、「103万円の壁」や「106万円の壁」などとも呼ばれます。


ここで言う「年収」とは、パートやアルバイトなどで得る給与収入のことです。


先述の通り給与所得者の場合には収入から給与所得控除を差し引いた金額が「所得」となり、この所得から配偶者特別控除など各種所得控除を引いた後の金額が課税所得です。この課税所得に対して所得税が課せられます。収入と所得の違いを正確に理解しておくことが重要です。


配偶者の収入と配偶者特別控除・配偶者控除の関係について、金額ごとに詳しく解説します。

「103万円の壁」とは?

配偶者の給与収入(年収)が103万円を超えると所得税が発生し、納税者は配偶者控除を適用できなくなります。


年収103万円の場合には給与所得控除額は55万円であり、所得は48万円になります。なお配偶者控除が適用されるのは年間の合計所得金額が48万円以下の場合なので、年収が103万円を超えると配偶者控除は受けられません。


また所得税を計算する際、基礎控除48万円が適用されます。そのため年収103万円以下の場合「103万円-給与所得控除55万円-基礎控除48万円」で課税所得が0円となり、所得税は発生しません。


これがいわゆる「103万円の壁」です。


ただし2025年から、これまでの「年収103万円の壁」が「年収123万円の壁」に変わります。具体的には、2025年以降には基礎控除と給与所得控除がそれぞれ10万円増額され「123万円」が新しい壁となります。

令和7年度税制改正の内容

基礎控除について、合計所得金額が2,350万円以下の個人に対して控除額を10万円増額されます。見直しにより、基礎控除額は次のように変更されます。

  • 合計所得金額が2,350万円以下の個人:58万円

  • 合計所得金額が2,350万円を超え、2,400万円以下の個人:48万円

  • 合計所得金額が2,400万円を超え、2,450万円以下の個人:32万円

  • 合計所得金額が2,450万円を超え、2,500万円以下の個人:16万円

給与所得控除の最低保障額を、55万円から65万円に増額されます。


パートやアルバイトで働いている主婦の方は、年収123万円になるまで働いても所得税の負担は増えません。これにより年収ギリギリまで働きたいと考えている人は、2024年までより年間20万円多く働けるようになります。


また配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額は58万円超~133万円以下となります。

「106万円の壁」とは?

「106万円の壁」が広く認識されている理由は、106万円を超えると配偶者の社会保険の適用基準が変わり健康保険や年金保険への加入が求められる可能性が高くなるためです。


この「106万円の壁」を意識することで、配偶者が勤務先の社会保険に加入するかどうかの判断が重要になります。具体的には以下の条件を満たす場合に、勤務先の社会保険に加入する義務が発生します。


配偶者がフルタイムで働いていない場合やパートタイムでの勤務をしている場合でも、年収が106万円を超えると社会保険加入が求められる場合があるためこれらの条件を確認しておくことが大切です。

  • 1週間に20時間以上働いている:勤務時間が1週間で20時間以上つまり、フルタイム勤務に近い働き方をしている場合に社会保険の適用対象となる可能性が高くなります。

  • 月収が88,000円(年収約106万円)以上である:月収が88,000円以上で年間で約106万円以上の場合、年収に関わらず社会保険への加入が求められます。

  • 学生でない:学生でないことも重要な要件です。学生は基本的に社会保険の適用外となります。逆にいえば学生でない場合、社会保険に加入しなければならない可能性があります。

  • 特定適用事業所等で働いている:特定適用事業所とは1年間のうち6か月以上、適用事業所の厚生年金保険に加入している被保険者(短時間労働者を除く。共済組合員を含む)の人数が51人以上になることが予想される企業や団体のこと。

このように年収が106万円を超えるなどの一定の条件を満たすと、勤務先の社会保険に加入する義務が生じるため予期しない負担が発生する可能性があります。特に年収が微妙に106万円を超える場合、税金や社会保険料の増加を考慮したうえで年収を調整する必要があるかもしれません。


また配偶者の働き方によっては、扶養控除や税務上の優遇措置にも影響を与えるため慎重に状況を把握しておくことが重要です。

「130万円の壁」とは?

年収が130万円を超えると、国民健康保険・国民年金の保険料を支払う必要があります。配偶者は自分で保険料を支払う必要があるため、手取り額が減る可能性が高くなります。

8.配偶者特別控除を受ける際のポイント

配偶者特別控除を受ける際には、いくつか注意すべきポイントがあります。申告を行う前に、以下の項目をしっかり確認しておきましょう。

配偶者が事業専従者の場合、控除が受けられない

先述の通り、配偶者が白色申告や青色申告の事業専従者になっている場合には配偶者特別控除の適用は受けられません。また親や祖父母など、別の親族の事業専従者であっても配偶者特別控除は利用できません。


なお、配偶者控除についても同様です。

配偶者が産休・育休中でも控除の申請が可能

配偶者特別控除・配偶者控除は、配偶者が仕事をしているかどうかに関係なく適用を受けることができます。

そのため配偶者が産休や育休中で収入がない場合でも、控除を利用可能です。


控除の適用条件は就業状況ではなく、配偶者や納税者自身の年収が基準を満たしているかどうかにかかっています。育休や産休の有無は、直接的な影響を与えるものではありません。


育休中の確定申告において心配されるのは、育休中に支給される給付金が所得に含まれるかどうかです。結論として産休や育休中に支払われる出産育児一時金や育児休業基本給付金は非課税扱いとなり、所得には含まれません。


そのため例えば育休中に非課税の育児休業基本給付金のみを受け取っている場合、実際の所得はゼロとみなされ、配偶者控除の対象となることがあります(ただし、他の要件も確認する必要があります)。


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9.配偶者特別控除・配偶者控除を利用する際の留意点

配偶者特別控除・配偶者控除を申告する際には、他にも注意点があります。特に、次のポイントに気をつけましょう。

  • 生命保険や損害保険の満期保険金も収入に含まれる

  • 扶養控除とは異なる要件がある

配偶者の合計所得金額や満期保険金の受取状況によっては配偶者控除を適用できない場合もあるので、事前に確認しておきましょう。

生命保険や損害保険の満期金も所得にカウントされる

配偶者(特別)控除における配偶者の合計所得金額はパートやアルバイトで得た収入だけでなく、年金・生命保険・損害保険の返戻金収入なども含まれます。


たとえば配偶者のアルバイト収入が年収103万円ちょうどであっても、満期保険金などで必要経費を差し引いた後に所得が発生すると合計所得金額が48万円を超えてしまい配偶者特別控除や配偶者控除を受けられなくなる可能性があります。


満期保険金の受け取りが見込まれる場合には配偶者(特別)控除の適用を受けるために、配偶者のパートやアルバイトの勤務シフトを見直すことも検討しましょう。

扶養控除とは異なる取り扱いになる

配偶者特別控除や配偶者控除はいずれも、扶養親族に対する所得控除の一種ですが扶養控除とは異なる制度です。


配偶者特別控除・配偶者控除は「配偶者」を対象とした控除であり、対象は配偶者のみです。一方扶養控除は配偶者以外の親族(子どもや両親など)を対象としており、控除を受けられる人数に制限はありません。


また配偶者特別控除・配偶者控除には控除を受ける納税者本人の所得制限がありますが、扶養控除に関してはそのような所得制限は設けられていません。


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10.確定申告で配偶者特別控除・配偶者控除を申請し忘れた場合

確定申告書を提出する際に、配偶者特別控除・配偶者控除の手続きを忘れてしまうことがあるかもしれません。しかしこのような場合でも適切な手続きを行えば、手続き忘れ漏れとなった配偶者特別控除を後から申請することが可能です。


ただし対応方法は確定申告の期限内か、期限を過ぎているかによって異なりますので注意が必要です。

申告期限内に申請し忘れた場合

申告期限内であれば、確定申告書を再作成して改めて提出するだけで対応可能です。税務署では、後から提出された申告書を正式なものとして扱ってくれます。

申告期限を過ぎてしまった場合

配偶者特別控除の手続き漏れがある場合には課税所得が多く計算されているため、初回の確定申告では本来より多く納税していることになります。


納めすぎた税金を取り戻すには「更正の請求」を行います。法定申告期限から5年以内であれば、更正の請求書を税務署に提出することで税金の還付を受けることが可能です。


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11.こんなケースでも配偶者特別控除・配偶者控除は受けられる?

以下ではケース別に配偶者特別控除・配偶者控除を受けられるかについて解説します。

納税者または配偶者が亡くなった場合でも適用可能

配偶者特別控除・配偶者控除は、納税者や配偶者が亡くなった場合でも要件を満たしていれば適用されます。


納税者が亡くなった場合の年収要件については、その時点でその年の1月1日から12月31日までの配偶者の所得額を見積もり判定を行います。万が一予期しない出来事で配偶者に所得が発生した場合でも、判定結果には影響しません。


また配偶者が亡くなった場合は、配偶者の所得金額をその年の1月1日から亡くなった日までの期間で判断します。

老齢年金に関する所得の計算方法

納税者や配偶者が年金を受け取っている場合にはその年金は雑所得として扱われ、該当者の所得に加算されます。年齢や年金の額に応じて、公的年金等控除を適用できることもあります。


計算方法としては公的年金等の収入額から公的年金等控除を差し引いた金額を、配偶者特別控除・配偶者控除を受ける配偶者の年間所得に加算します。

内縁関係がある場合

内縁関係の相手では、配偶者特別控除・配偶者控除を受けることはできません。配偶者特別控除・配偶者控除は、民法に基づいた法的な配偶者が対象となるため婚姻届を提出していない内縁の関係にある人は、法律上は配偶者として認められません。

同居している場合

婚姻届を出さずに恋人と同居している場合も、配偶者特別控除・配偶者控除は適用されません。戸籍上は別々の人とみなされるため、所得税は各自が個別に支払うことになります。


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12.まとめ

配偶者特別控除・配偶者控除は個人所得税における所得控除の一種であり、納税者が一定の条件を満たした場合に税負担を軽減できる制度です。


これらの控除を活用することで納税者の課税所得を減少させることができ、最終的には納めるべき所得税額を少なくする効果があります。そのため適用可能な場合には、積極的に活用することで家計の負担を軽減することが期待できます。


確定申告や年末調整の際にこれらの控除を受けるためには、適用条件をしっかりと確認することが重要です。また控除額は納税者本人の所得や配偶者の所得に応じて変動するため、正確な金額を確認し申告書に適切に記入することが求められます。


特に控除額の記入を誤ったり必要な添付書類を提出しなかったりすると、控除が認められない可能性もあるため注意が必要です。税制改正などにより控除額や適用条件が変わることもあるため、最新の情報を確認することも忘れないようにしましょう。


困った時は税務署に相談することで、正確かつ最適な控除の適用方法を確認することができます。特に所得が複数にわたる場合や家族構成が複雑な場合には、サポートを受けることで申告漏れや控除の適用漏れを防ぐことに繋がります。


本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。

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目次

1.配偶者特別控除とは?

2.配偶者特別控除を受けるための条件

納税者本人の年間所得が1,000万円以下であること

配偶者が特定の要件を満たしていること

民法上の配偶者であること

控除を受ける人と同一生計であること

青色申告や白色申告の事業専従者ではないこと

年間の合計所得金額が48万円超〜133万円以下であること

配偶者が配偶者特別控除を利用していないこと

配偶者が他の親族の扶養に入っていないこと

配偶者が公的年金等の受給者の扶養親族として控除の対象になっていないこと

3.配偶者特別控除と配偶者控除の違いとは?

配偶者控除の適用要件

法律上の婚姻関係が成立していること

納税者と同一の生計を立てていること

配偶者の年間所得合計が48万円以下であること

配偶者が青色申告者の専従者給与を受け取っていないこと、または白色申告の事業専従者でないこと

4.所得税の計算方法を確認

1.年間の収入を計算する

2.年間収入から経費を差し引く

3.24.の金額から所得控除額を差し引く

4.3.の金額に定められた所得税の税率をかける

5.4.の金額から税額控除額を差し引く

5.配偶者控除および配偶者特別控除でいくら戻る?控除額の早見表

6.配偶者特別控除の申請方法

年末調整を行う場合

確定申告を行う場合

第一表「所得から差し引かれる金額」欄の「配偶者(特別)控除」

第一表「その他」欄の「配偶者の合計所得金額」

第二表「配偶者や親族に関する事項」

7.配偶者の収入と所得税・社会保険料の関係

「103万円の壁」とは?

令和7年度税制改正の内容

「106万円の壁」とは?

「130万円の壁」とは?

8.配偶者特別控除を受ける際のポイント

配偶者が事業専従者の場合、控除が受けられない

配偶者が産休・育休中でも控除の申請が可能

9.配偶者特別控除・配偶者控除を利用する際の留意点

生命保険や損害保険の満期金も所得にカウントされる

扶養控除とは異なる取り扱いになる

10.確定申告で配偶者特別控除・配偶者控除を申請し忘れた場合

申告期限内に申請し忘れた場合

申告期限を過ぎてしまった場合

11.こんなケースでも配偶者特別控除・配偶者控除は受けられる?

納税者または配偶者が亡くなった場合でも適用可能

老齢年金に関する所得の計算方法

内縁関係がある場合

同居している場合

12.まとめ