確定申告とは1年間の収入と支出を基に所得税額を算出し、税務署に申告する手続きのことです。
個人事業主で一定の所得があれば、確定申告が必要です。また確定申告義務がない所得額であっても、申告をした方が良い場合があります。たとえば所得控除を受けられる場合や源泉徴収が行われている場合、確定申告をすることで過剰に納めた税金が還付されることがあります。
そこでこの記事では源泉徴収税額が0円の場合に確定申告が必要かどうかや確定申告を行うべき所得金額などについて具体的なケースを交えて解説します。
目次
1.源泉徴収税額0円とはどういうこと?
所得税について解説したところで、源泉徴収税額 0 円とはどういうことかを表すかを解説します。一般的に源泉徴収税額 0 円のケースとしては以下の2パターンが考えられます。
自分の受け取る報酬について源泉徴収が必要なものがなく源泉徴収税額が0円である
自分が雇っている従業員の源泉徴収税額 が0 円である
個人事業主の報酬で源泉徴収が必要なものがない
源泉徴収義務者が外部の個人に報酬を支払う際、次のカテゴリーに該当する場合は源泉徴収を行う必要があります。
原稿料や講演料など
弁護士・公認会計士・司法書士など特定の資格を持つ人への報酬・料金
社会保険診療報酬支払基金から支払われる診療報酬
プロスポーツ選手(プロ野球・プロサッカー・プロテニスなど)・モデル・外交員などに対する報酬・料金
映画や演劇・音楽・舞踊・漫才などの芸能活動やテレビ出演などに関連する報酬、個人経営の芸能プロダクションへの支払い
ホテルや旅館の宴会で接待業務を行うバンケットホステスやバーやキャバレーで働くホステスへの報酬・料金
プロ野球選手の契約金など役務提供に伴う一時的な契約金
広告宣伝用の賞金や競馬の賞金として馬主に支払う金額
これらに該当する報酬を受け取らない場合、源泉徴収税額が0円になります。上記の一部について詳しく見ていきます。
原稿料や講演料など
記者・ライター・デザイナーに支払う原稿料・デザイン料・専門家を招いての講演料などが該当します。名目が取材費・調査費・謝礼・旅費・宿泊費であっても、実態として講演料などに該当する場合は源泉徴収が必要です。
ただし懸賞応募作品の入選者に支払う賞金については、1人あたり1回の支払額が5万円以下の場合には源泉徴収の対象外となります。
特定の資格を持つ専門家への報酬
弁護士・税理士・社労士(社会保険労務士)などへの報酬・料金も源泉徴収の対象です。例えば顧問契約を結んでいる弁護士や税理士への報酬、司法書士に支払う登記関連の費用が該当します。
ただし行政書士に対する報酬は通常、源泉徴収の対象外です。また個人への支払いが対象となるため、税理士法人や弁護士法人に支払う場合は源泉徴収は不要です。
外交員などへの報酬
会社に直接雇用されているのではなく、業務委託契約を結んで営業活動を行っている外交員に支払う報酬も源泉徴収の対象です。
広告宣伝目的の賞金など
広告宣伝を目的に個人に支払う賞金も源泉徴収が必要です。例えば販売促進のための懸賞クイズの賞金・キャンペーンの賞品・クイズ番組の賞金などが該当します。ただし、旅行への招待(ツアーや宿泊を提供する場合)は源泉徴収の対象外となります。
個人事業主が雇っている従業員の源泉徴収税額が0円である
自分が個人事業主として従業員を雇っている場合に、その従業員からの源泉徴収税額が0円であるケースもあります。
源泉徴収は所得を支払う際に支払者が所得税をあらかじめ一定の税率で差し引き、国に納める仕組みのことであり、従業員の給与などのさまざまな所得に対して適用されます。そのため「所得がある=源泉徴収が行われる」というイメージをお持ちの方は源泉徴収額が0円になるのは珍しいと感じるかもしれません。
しかし、実際には従業員からの源泉徴収額が0円になるケースも存在します。
そこでこの節では、従業員からの源泉徴収額が0円となるパターンについてご説明します。
従業員の給与所得が一定金額を下回る場合
月々の給与から社会保険料を差し引いた後の金額が88,000円に満たない場合、源泉所得税は発生しません。この88,000円という基準は「最低限の生活費」を踏まえたものであり、低所得者の税負担を軽減することを目的とした措置です。
定額減税による税負担軽減措置が適用される場合
定額減税の適用によって、源泉所得税が0円になるケースもあります。定額減税は2024年度の税制改正により導入された減税措置で、2024年分の所得税に適用されます。対象となるのは、以下の条件を満たす納税者です。
日本在住で2024年分の所得税が対象
合計所得金額が1,805万円以下(給与収入のみの場合は2,000万円以下)
「子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除」の適用がある場合は、2,015万円以下
この定額減税では、個人の所得税および住民税から一定額が差し引かれます。具体的には、1人あたり40,000円(所得税から30,000円、住民税から10,000円)が控除されます。
この仕組みにより多くの給与所得者が源泉所得税の負担を軽減でき、場合によっては源泉徴収額が0円になる可能性もあります。
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2.確定申告とは?
確定申告とは年間の所得をもとに所得税の金額を確定し、税務署へ申告する手続きのことを指します。所得税は個人が得た収入に対して課される税金であり、原則として納税者自身が税額を計算し申告・納付を行うことが求められています。
日本の所得税制度では納税者自身が所得を計算し、それに基づいて税額を申告・納付する「申告納税制度」が採用されています。そのため一定の条件に該当する場合、納税者は確定申告を行い所得税を適切に納める義務があります。
所得の種類や働き方によって確定申告の必要性が異なります。自営業者やフリーランスなどの個人事業主は、条件を満たせば毎年確定申告を行う必要があります。個人事業主の場合事業の売上や経費を記録し、収入から必要経費を差し引いた所得を計算したうえで税額を確定し、税務署に申告・納付を行います。
毎年1月1日から12月31日までの所得を集計し、翌年の2月16日から3月15日までの間に行う必要があります。ただし申告期間の開始日や終了日が土日や祝日と重なる場合は、翌営業日に変更されます。例えば2024年分の確定申告の提出期限は、2025年2月17日(月)から3月17日(月)までです。
確定申告を通じて計算された所得税の納付も申告期限内に行わなければなりません。申告書を提出する際、納税期限を守ることが重要です。口座振替を利用する場合、振替納税依頼書を確定申告期限内に提出する必要があります。
もし確定申告が期限内に間に合わなかった場合は、できるだけ早急に申告と納税を行うことが推奨されます。遅れた期間が長くなるほど、延滞税などのペナルティが発生する可能性が高くなります。
一方確定申告の必要がない人でも、還付申告は申告年の翌年1月1日から最大5年以内に行うことができます。
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3.個人事業主はどの収入額から所得税が発生するのか
課税所得の金額は、一般的に「所得の合計額から所得控除を差し引いた金額」で算出されます。そしてこの所得控除を適用した後に残る課税所得がプラスの金額であれば所得税が発生することとなり、その場合は確定申告が必要になります。なお課税所得が0円の場合、所得税は課されません。
自分がどの程度の所得税を支払うことになるかを知るためには、まず所得控除の合計金額を確認することが重要です。特に注目すべきなのはすべての納税者に適用される「基礎控除」です。この基礎控除額は令和6年分は48万円となっており、年間の事業所得がこの金額以下であれば所得税は発生しないことになります。
たとえば年間の事業収入が320万円で、経費が280万円の場合には事業所得は40万円となります。この場合事業所得40万円は基礎控除額48万円を下回っているため、課税所得は0円となり所得税は課されません。
所得控除については後ほど詳細を確認します。
4.個人事業主の所得税の計算方法
所得にはさまざまな種類がありますが、この章では「事業所得のみ」を前提として所得税の計算方法を解説します。
所得税額を求めるには、まず「課税所得」を算出する必要があります。そのため、最初に以下の計算式で事業所得を求めます。
事業所得 = 総収入額 - 必要経費 |
次に事業所得から適用可能な控除額を差し引くことで、課税所得が計算できます。そして課税所得に対して定められた所得税率をかけ、最後に控除額を差し引くことで最終的な所得税額を算出します。
所得税や住民税に影響する「各種控除」のポイント
所得税と住民税の計算方法は、いずれも「課税所得に所定の税率を掛ける」という点では共通しています。しかし控除の種類・金額・税率に違いがあります。所得税や住民税を0円にするうえで重要なのが「所得控除」です。
所得控除は納税者の個別の事情を考慮し、税負担を軽減する仕組みです。特定の条件を満たす場合、所得の合計額から一定の金額を差し引くことができます。
雑損控除:自然災害(地震・落雷・台風など)や火災・人為的災害・シロアリ・盗難などの被害を受け、生活必需品に損害が発生した場合に受けられる控除です。次の(1)と(2)のいずれか大きい方の金額を適用します。
(1)(損害額+災害関連支出額-保険金等の額)-(総所得金額等)×10%
(2)(災害関連支出額-保険金等の額)-5万円
医療費控除:自己や生計を一にする配偶者、または親族のために支払った医療費に対して受けられる控除です。実際に支払った医療費の総額から、(1)の金額と(2)の金額を差し引いた額が控除対象となります。
(1) 保険金などで補填された金額
(2) 10万円 (注) 総所得金額等が200万円未満の人の場合、総所得金額等の5%の金額が適用されます。
社会保険料控除:国民健康保険・国民年金・介護保険などの社会保険料を支払った場合に適用される控除です。金額は支払った社会保険料全額
小規模企業共済等掛金控除:小規模企業共済や確定拠出年金の掛金、地方公共団体の障害者扶養共済掛金などを支払った場合に受ける控除。金額は支払った金額全額
生命保険料控除:生命保険や個人年金保険などの保険料を支払った場合に受けられる控除です。
住民税
旧制度契約のみ:最大7万円
新制度契約のみ:最大7万円
両方契約:最大7万円
所得税
旧制度契約のみ:最大10万円
新制度契約のみ:最大12万円
両方契約:最大12万円
地震保険料控除:地震保険料を支払った際に受けられる控除です。住民税: 最大2万5,000円・所得税: 最大5万円
障害者控除:本人または控除対象の配偶者・扶養親族に障害者がいる場合に適用される控除です。
住民税: 26万円(特別障害者は30万円、同居特別障害者は53万円)
所得税: 27万円(特別障害者は40万円、同居特別障害者は75万円)
寡婦控除:寡婦の場合に受けられる控除です。所得金額に条件があります。
住民税: 26万円
所得税: 27万円
勤労学生控除:所得年収65万円(給与年収130万円)以下の勤労学生に適用される控除です。
住民税: 26万円
所得税: 27万円
配偶者控除:控除対象の配偶者がいる場合に適用される控除です。
住民税: 33万円(配偶者が70歳未満の場合)
所得税: 38万円(配偶者が70歳未満の場合)
配偶者特別控除:所得金額が一定の範囲の配偶者がいる場合に受けることができる控除です。
住民税: 最大33万円
所得税: 最大38万円
扶養控除:扶養親族がいる場合に適用される控除です。
住民税: 33万円(一定の扶養親族の場合)
所得税: 38万円(一定の扶養親族の場合)
基礎控除:すべての納税者が一律で受けられる控除です。
住民税: 43万円(合計所得金額2,400万円以下の場合)
所得税: 48万円(合計所得金額2,400万円以下の場合)
所得税と住民税では、同じ控除でも控除額に違いがあります。たとえば「基礎控除」の場合には合計所得金額が2,400万円以下のとき、所得税の控除額は48万円・住民税では43万円(令和6年まで)となっています。
自分が受けられる控除の種類や金額をしっかり確認して、適切に活用しましょう。
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5.個人事業主が所得税を0円にできる条件とは
この章では源泉徴収税額が0円になるケースの類似の状況として、個人事業主が所得税を0円にできる条件について解説します。
個人事業主にとって所得税は大きな負担ですが、以下の条件を満たす場合には所得税が0円になることがあります。
赤字である
青色申告を行っており、前年度の赤字を繰り越している
所得控除が所得金額を上回っている
それぞれの条件について詳しく説明します。
事業が赤字の場合
所得税は所得に基づいて課税されるため個人事業以外に収入がなく、個人事業が赤字の場合には所得税は0円になります。この考え方は住民税にも適用されます。
青色申告で過去3年間の赤字を繰り越している場合
青色申告を利用している個人事業主の方は、赤字を最大3年間繰り越すことができます。例えば事業を始めた最初の年に300万円の赤字が発生した場合、その年の所得税は当然0円になります。
翌年に100万円の課税所得が発生した場合、通常なら100万円に対して所得税が課せられますが、前年度の300万円の赤字と相殺できるため、2年目の所得税も0円となります。
3年目も繰り越している赤字が残り200万円あるため、課税所得が200万円以下であれば3年目の所得税も0円になります。
初期投資に多くの費用がかかる場合は青色申告の赤字繰越制度を活用することで、支払う所得税を効果的に減らすことができます。
所得控除額が所得金額を上回るケース
課税所得は事業所得から各種所得控除を差し引いた後、所得税率を適用することで計算されます。そのため所得金額よりも所得控除の方が大きい場合、実質的に赤字と同じ扱いとなり結果として所得税が0円となります。
所得控除には社会保険料控除や医療費控除などが含まれているため、これらの支払いが多い場合には所得税が0円になる可能性があります。
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6.個人事業主が従業員を雇っている場合に源泉徴収税額が0円でも所得税徴収高計算書の提出は必要?
「所得税徴収高計算書(源泉所得税納付書)」は、事業主が従業員の給与から控除した源泉所得税を納付する際に使用する書類です。源泉徴収の対象となる所得を支払う場合、定められた様式に従って記入する必要があります。
源泉徴収税額が0円の場合でも、税務署への所得税徴収高計算書(納付書)の提出は必要です。提出しないと税務署が源泉徴収の状況を確認できず、結果として調査や追徴課税が行われる可能性があります。
提出が求められる理由とは
法令に基づき、源泉所得税が0円であっても税務署への所得税徴収高計算書の提出が義務付けられています。所得税徴収高計算書を提出することで、給与支払いや源泉徴収の状況を税務署に正確に報告することができます。
納付書を提出する際、従業員が給与を受け取っているにもかかわらず源泉徴収額が0円である理由を明確に伝える必要があります。この手続きを怠ると、税務署から問い合わせや指摘を受ける可能性があるため十分に注意しなければなりません。
「0円申告」が持つ重要な役割
源泉徴収額が0円の場合に提出する税務署への納付書は「0円申告」と呼ばれることがあります。この0円申告を行わないと年末調整や会社の信用に関してさまざまな問題が発生する可能性があるため、十分に注意が必要です。
特に年末調整では提出された納付書を基に基礎資料が作成されるため、0円申告がされていない場合には年末調整が正しく行えないリスクが高くなります。法令に基づく納付書の提出を怠ると信用が低下し、それが事業に大きな影響を与えることもありえます。
7.源泉所得税が0円のときの「所得税徴収高計算書」の書き方
次に、納付書(所得税徴収高計算書)の記入方法について説明します。納付書は税務署の窓口で直接受け取ることができるほか、郵送で取り寄せることもできます。
また、国税庁の公式Webサイトからダウンロードすることも可能です。
所得税徴収高計算書に記載する基本情報
所得税徴収高計算書(納付書)は源泉徴収義務を持つ事業主が、源泉徴収した所得税および復興特別所得税を納付する際に使用する書類です。
納付書は対象となる所得に応じて使い分けます。特に利用されることが多いのは、「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書」と「報酬・料金等の所得税徴収高計算書」です。
提出時期:原則として、給与などを支払った月の翌月10日までに提出・納付
提出方法:金融機関や税務署窓口に持参するか、e-Taxを使ってオンラインで提出・納付
記載内容:支払年月・支払人数・支払金額・税額などを記入
納期の特例:従業員が常時10人未満の場合、年2回の納付に変更できる特例がある
所得税徴収高計算書は源泉徴収制度の重要な要素であり、正確な記入と提出が求められます。
納付額が0円の場合の具体的な記入方法
(出典:https://www.nta.go.jp/law/jimu-unei/shotoku/gensen/080623/pdf/03.pdf)
国税庁の「納付書の記載方法(給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書)」を参考に、0円申告時の記入方法について説明します。
年度:1年度は4月1日から翌年3月31日までとなります。2024年度分を納付する場合は「24」と記入します。
税務署名:管轄の税務署名を記入します。税務署から送付された納付書を参考に記入します。
整理番号:納税者番号を指し、税務署から送られた納付書に既に印字されています。
俸給・給与など:給与を支払った年月日を記入します。
人員:給与を支払った全員(役職や雇用形態を問わず)の人数を記入します。
支給額:支払った給与などの課税前・控除前の総額を記入します。
税額:預かっている源泉所得税の総額を記入します。
年末調整による超過税額:年末調整で過剰に支払った税額があれば、それを記入します。
本税:納付すべき源泉所得税額から年末調整で過剰に支払った税額を差し引いた額を記入します。差し引きでマイナスとなる場合は「0」と記入します。
合計額:0円申告の場合は、「¥0」と記入します。
納期等の区分:支払年月日を記入します。
徴収義務者:納付書を提出する事業所の住所・名称・電話番号などを記入します。
今回の解説では、所得税徴収高計算書における0円申告の記入方法について説明しました。「本税」欄には必ず「0」と記入し、それ以外の欄は通常の納付書と同様に正確に記入します。
不明な点がある場合は、税務署に確認するなどして、記入方法を正確に理解しておきましょう。
書類作成時に気をつけるポイント
納付書(所得税徴収高計算書)を0円で提出する際には、以下の点に注意が必要です。
合計額欄の0には「¥0」と記入する:0の前に他の金額が追加されるのを防ぐため、「¥」マークを付けることが重要です。
「会計年度」には正しい年度を記入する:支払った年月の年ではなく、会計年度に基づいて記入することを確認してください。
「本税欄」には「0」と記入する:記入ミスがないように、他の欄についても正しく記入し、間違えた場合の対応方法を確認しておくことが大切です。
8.医療費控除や住宅ローン控除を受けたい人は確定申告の義務はなくても確定申告をした方がよい
確定申告の義務がない場合でも、確定申告を行うことで税金の還付を受けられる可能性が高い人がいます。特に寄附金控除や医療費控除といった控除は、年末調整では申告できないため仮に会社員であってもこれらの控除を適用したい場合は確定申告を行う必要があります。
確定申告をすることで適用できる控除の種類が増え、結果的に税金の還付を受ける可能性が高くなります。特に医療費控除は1年間の医療費が一定額を超えた場合に適用でき、対象となる費用も幅広いため適用の有無によって還付額が大きく変わることがあります。
寄附金控除もふるさと納税をはじめとした各種寄附を行った際に活用できるため、該当する人は積極的に申告を検討するとよいでしょう。
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を活用することで申告書を作成する際に、該当する控除を選択し入力することで自動的に還付額の試算も行えるため活用すると便利です。
なお確定申告を行う場合は、ふるさと納税のワンストップ特例制度を利用することができません。
ワンストップ特例制度は確定申告をしないことを前提とした簡易な制度ですが、確定申告をする場合は、ワンストップ特例を利用した寄附分も含めてすべてのふるさと納税を申告し直す必要があります。そのためすでにワンストップ特例制度を利用している方は、確定申告を行うことで手続きが変更になる点に注意が必要です。
自分の状況を整理し、確定申告をすることでメリットがあるかどうかを検討しましょう。
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9.まとめ
確定申告が必要となる所得金額は、個人の働き方や収入の状況によって異なります。
特に個人事業主やフリーランスとして働いている場合は、売上から必要経費を差し引いた後の「所得」が重要な基準となります。この所得が年間48万円を超える場合、確定申告を行う必要があります。これは基礎控除の金額が48万円であるため、それを超えた部分に対して課税所得が発生し所得税の申告が求められるためです。
確定申告が義務ではない人でも、状況によっては申告することで思わぬメリットを受けられることがあります。例えば医療費が年間で一定額を超えた場合に適用できる「医療費控除」などの税制上の優遇措置を受けるためには、確定申告を行うことが必要です。仮に副業の所得が0円であったとしても、医療費控除を適用したい場合には確定申告を行うことで税金の還付を受けられる可能性があります。
確定申告は単に義務として行うだけでなく、節税の手段としても活用できる制度です。還付を受けるためには申告が必要となるケースもあります。
「本来受けられるはずの控除を見逃してしまい、結果的に損をしてしまった」とならないように確定申告の仕組みをしっかりと理解し、自分にとって有利になる申告ができるように準備しておくことが大切です。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。
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