自分で収入を管理して確定申告を行い、税金を納めることはフリーランスとしての重要な責任の一つです。ただし確定申告の手続きは複雑で、何から始めるべきか分からない方も多いでしょう。
そこでこの記事では、フリーランスが行うべき確定申告の注意点・方法・必要書類・準備のポイントなどを詳しく解説します。
正しい知識を持って確定申告を行うことで、節税や事業の成長につなげてください。
目次
1.フリーランスが確定申告をしなければならないのはいくらから?
フリーランスとして働いている場合、確定申告は必ず必要なのでしょうか。この章では確定申告が必要となる場合と不要な場合について説明します。
フリーランスが確定申告を行う必要がある主なケースとして、以下のような例が挙げられます。
事業収益が一定額以上ある場合
納めるべき所得税が発生する場合は、確定申告を行う必要があります。具体的には、以下の計算によって所得税の納付額が生じる場合に確定申告が必要です。
事業収入-必要経費=事業所得
事業所得-所得控除(基礎控除など)=課税所得額
課税所得額 × 所得税率-控除額=所得税額
所得税額-税額控除額=納付すべき所得税額
計算式を確認すると所得税の算出基準となる課税所得額は、事業所得から所得控除を差し引いた結果として、残額がある場合に発生します。
所得控除の額は納税者ごとに異なりますが、フリーランスとして一定の利益(事業所得や雑所得)を得ている場合には確定申告が必要となる可能性が高いでしょう。
本業に加えてアルバイト収入がある場合
アルバイトと本業を掛け持ちして働くケースもあるでしょう。アルバイトは企業と雇用契約を結ぶ働き方のため給与から所得税が源泉徴収され、短期雇用でない限り勤務先で年末調整が行われます。
年末調整によりアルバイト分の所得税に関する手続きは完了しますが、本業の所得税の申告や納税はされていません。そのため給与収入が1カ所のみの場合、給与所得以外の所得が20万円を超えると確定申告が必要になります。
また所得税のルールでは給与を複数の会社から受け取っている場合、年末調整を受けていない給与と給与所得以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告の対象となります。
アルバイトと本業の両方で収入を得ている場合、ほとんどのケースで確定申告を行う必要があるでしょう。
本業に加えて株式投資で収入がある一定の場合
本業に加えて資産形成を目的として株式・投資信託・公社債の取引を行っている方も少なくないでしょう。株式などで譲渡益を得たり、配当や公社債の利子を受け取った場合には基本的に確定申告が必要です。
ただし、以下のいずれかに該当する場合は、確定申告をする必要はありません。
源泉徴収ありの特定口座のみで取引を行った場合
NISAやつみたてNISAなどの非課税枠内で取引をした場合
配当や公社債の利子について、確定申告不要制度を選択している場合
本業に加えて不動産収入がある場合
自身が所有する土地や建物などの不動産を他者に貸し出し、家賃収入を得る投資の形態を「不動産投資」といいます。不動産投資は相続税対策など税金対策として活用されることもありますが、家賃収入による利益を目的として行うケースもあります。
本業とは別に不動産投資を行い安定して利益を得ている場合(不動産所得が発生している場合)は、本業の所得と合算されるため確定申告が必要になる可能性が高いです。
一方で不動産投資が赤字となった場合、一部の損失を除き不動産所得と事業所得の損益通算(損失と利益を相殺すること)が可能です。その結果、合計所得額によっては確定申告が不要になる場合もあります。
ただし収支内訳書や青色申告決算書は、不動産用のものを別途作成する必要があるため注意が必要です。
また一時所得や譲渡所得など所得税の課税対象となる収入がある場合には、確定申告が必要になることがあります。
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2.フリーランスで確定申告してない場合でも問題ないケース
以下のようなケースに当てはまる場合、フリーランスであっても確定申告は必要ありません。
本業の収益がほとんどない場合
確定申告が必要なケースで説明したとおり納付すべき所得税額が発生する場合は、確定申告を行う必要がありますが発生しない場合は確定申告は必要ありません。例えば本業の利益が少なく基礎控除を下回る場合は、確定申告は不要です。
また事業所得が基礎控除を超えていても社会保険料控除や生命保険料控除などの適用によって、課税所得がゼロになるケースもあります。
このように納めるべき税額が発生しない場合は、確定申告をする必要はありません。
本業が赤字の場合
本業のみの収入で本業が赤字の場合、所得税が発生しないため確定申告の必要はありません。
ただし青色申告をしている場合で赤字分を翌年以降に繰り越したい場合は、確定申告の手続きを行う必要があります。
3.確定申告の義務がなくても申告したほうが良いケース
確定申告の義務がない人の中には、申告を行うことで税金の還付を受けられるケースがあります。この章では、必須ではないものの、確定申告をすることでメリットがある場合について説明します。
事業で赤字が発生している
事業で赤字が発生した場合は、確定申告を行うことでメリットを得られる可能性があります。
フリーランスの場合は事業所得が基礎控除以下であれば基本的に確定申告は不要ですが、青色申告をしている場合には赤字を申告することで税制上の優遇措置を活用できます。
例えば青色申告者であれば赤字を3年間繰り越す「純損失の繰り越し」や前年の所得と相殺して還付を受ける「純損失の繰り戻し」が可能になります。
また白色申告者であっても、給与所得などと損益通算できる場合には確定申告をすることで税負担を軽減できる可能性があります。
年の途中で退職し、年末調整を受けていない
年の途中で退職し年末調整を受けていない場合も、確定申告をすることでメリットを得られる可能性があります。
退職後に再就職していない会社員は勤務先で年末調整を受ける機会がなく、所得控除が適用されていない可能性があります。その結果、所得税を多く支払いすぎているケースも考えられます。
このような場合確定申告を行うことで、適用できる控除を反映させ納めすぎた税金の還付を受けることができます。
アルバイト・副業・フリーランスの収入から源泉徴収されている
アルバイト・副業・フリーランスの収入から所得税が源泉徴収されている場合、確定申告を行うことで税金が還付される可能性があります。
源泉徴収は収入額に対して一定の割合で差し引かれますが、実際の所得税額は最終的な課税所得に基づいて計算されます。そのため、本来納めるべき税額よりも多く徴収されていることがあります。
確定申告が義務ではない場合でも、還付を受けられる可能性がある場合は申告を検討するとよいでしょう。
医療費が年間10万円を超えた
医療費が例えば年間10万円を超えた場合、確定申告を行うことで税金の還付を受けられる可能性があります。
医療費控除の対象となるのは申告者本人だけでなく、生計を共にする配偶者や親族の医療費も含まれるため家族全員の医療費を合算して申告できます。
また1年間でドラッグストアなどで購入したスイッチOTC医薬品の金額が1万2,000円を超え、かつ一定の条件を満たしている場合にはセルフメディケーション税制の適用を受けることも可能です。
控除の上限額は8万8,000円で、医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できないためどちらが有利かを検討して申告しましょう。
寄附やふるさと納税を行った
寄附やふるさと納税を行った場合、確定申告をすることで税金の控除を受けられる可能性があります。特定の団体への寄附やふるさと納税は寄附金控除の対象となりますが、年末調整では適用されないため自身で確定申告を行う必要があります。
特にふるさと納税は控除額が大きい制度ですが、申告しなければ控除を受けることができません。ただし確定申告をしない給与所得者で条件を満たせば、「ワンストップ特例制度」を利用することで確定申告をせずに控除を受けることが可能です。
住宅ローンを利用した
確定申告をすることでメリットがある場合の一例として、住宅ローンを利用したケースが挙げられます。
住宅ローンを組んで一定の条件を満たす新築・購入・増改築を行った場合、初年度に確定申告をすることで「住宅借入金等特別控除」が適用されます。控除額の上限は住宅によって異なります。
ただし2024年からは、省エネ性能が一定の基準を満たさない「一般の新築住宅」は対象外となります。対象かどうかを確認した上で、確定申告を行いましょう。
フリーランスの場合、2年目以降も引き続き確定申告が必要です。
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4.確定申告には2つの種類がある
フリーランスが行う確定申告には、主に「青色申告」と「白色申告」の2種類の方法があります。それぞれの申告方法について、詳しく見ていきましょう。
青色申告
青色申告は複式簿記に基づいて日々の取引を記録し、確定申告時に青色申告決算書(貸借対照表や損益計算書など)を添付して所定の期限内に提出することが求められる申告方法です。
この方法を利用するには開業した年の3月15日まで、または1月16日以降に開業した場合は業務開始日から2ヵ月以内に納税先の税務署に「青色申告承認申請書」を提出し、承認を受ける必要があります。
青色申告を選択し、正しい記帳と申告を行うことで、以下の特典を受けることが可能です。
青色申告特別控除
青色事業専従者給与を必要経費に算入
純損失の繰越しおよび繰り戻し
貸倒引当金を必要経費に算入
青色申告特別控除が受けられる
青色申告を選び複式簿記で取引を記帳し確定申告書に青色申告決算書(貸借対照表や損益計算書など)を添付して期限内に申告を行うと、青色申告特別控除として55万円が控除されます。さらにe-Taxを利用して電子申告を行うなど、特定の条件を満たすと控除額は最大65万円に増額されます。
青色事業専従者給与を経費にできる
青色申告をしている場合で生計を共にする配偶者や親族が事業に関与している際、その人に支払った給与が適正な金額であればその給与を必要経費として計上することができます。
赤字を繰り越し・繰り戻しできる
青色申告を選択すると事業で損失(赤字)が出た場合にはその損失額を翌年から最大3年間繰り越すことができ、繰り越した年の所得金額から差し引いて税金を軽減することができます(純損失の繰越し)。
さらに前年も青色申告をしていた場合、損失が発生した年の損失を前年度に繰り戻してその年の所得金額から差し引くことで前年度に支払った所得税を還付してもらうことが可能です(純損失の繰戻し)。
貸倒引当金を経費として計上できる
取引先との取引で発生した売掛金・貸付金・受取手形・未収金などが回収できなくなるリスクに備えてあらかじめ一定の限度額までを貸倒引当金として計上した場合、その金額を必要経費として計上することができます。
白色申告
白色申告は、より簡単な記帳方法である「単式簿記」を使用して申告できる方式です。複雑な帳簿や決算書を作成する必要はありませんが、青色申告で受けられる税金の軽減措置などの特典はありません。
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5.確定申告で初めて青色申告を行うには事前の書類提出が必要
青色申告を行うには、事前に以下の書類を税務署に提出する必要があります。青色申告を行うために提出が必要な書類は以下の通りです。
開業届(個人事業の開業・廃業届出書)
青色申告承認申請書
青色事業専従者給与に関する届出書(青色事業専従者がいる場合)
開業届(個人事業の開業・廃業届出書)の提出
フリーランスとして得た収入を事業所得として青色申告を行うためにはまず「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出し、個人事業を開業する必要があります。
その際本人確認書類が求められるため、マイナンバーカードや身分証明書などの確認できる書類を持参することが必要です。
青色申告承認申請書の提出
基本的には、開業後2ヶ月以内に「所得税の青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。もし白色申告で事業を開始しており、青色申告に変更する場合はその年の3月15日までに提出する必要があります。
いずれのケースでも期限内に提出できなかった場合は、青色申告ではなく白色申告として扱われ青色申告は翌年から適用されることになります。
青色事業専従者給与に関する届出書の提出
青色申告では、事業に従事する家族(青色事業専従者)への給与を必要経費として計上できます。このためには以下の条件を満たしたうえで、事業に従事し始めてから2ヶ月以内に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出しなければなりません。
個人事業主と同居しており、生計が同一の15歳以上の家族や親族であること
1年間の半分以上(6ヶ月以上)は事業に従事していること
他の会社に勤務していないこと
確定申告を行う本人の配偶者控除や扶養控除の対象でないこと
また従業員を雇い給与を支払う場合は、「給与支払事務所等の開設届出書」や「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」の提出も必要になります。
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6.フリーランスの確定申告のやり方
通常確定申告に関する書類の提出期限は、所得があった年の翌年2月16日から3月15日までとなっています。この章では確定申告の基本的な流れと手続き方法を説明します。
確定申告に必要な情報を整理する
売上や経費を計算するために必要な書類(請求書やレシートなど)を集め、1年間の取引内容を記帳し収支内訳書や青色申告決算書にまとめます。
日々の記帳や整理を習慣化するために、1日の終わりや週末に領収書をファイルに整理することをお勧めします。
控除を受けるための書類を準備する
所得控除の項目を確認し社会保険料控除証明書・生命保険料控除証明書・医療費の領収書など、控除を適用するために必要な書類を集めます。このステップは、所得控除を正しく把握するためにも重要です。
また取引先が源泉徴収を行っている場合、1月から2月に取引先から支払調書が届くことがあります。この書類は確定申告書作成時に役立つ場合があるので、必ず保管しておきましょう。
確定申告書類を作成する
確定申告書を提出するために必要な資料を作成していきます。フリーランスの場合は、青色申告決算書または収支内訳書の作成も含まれます。
確定申告書と添付書類を提出する
確定申告に必要な書類を確認し、確定申告書と一緒に税務署に提出します。提出方法は税務署の窓口・郵送・または電子申告(e-Tax)を利用できます。
なお青色申告を行っている場合は、e-Taxでの申告や電子帳簿保存を行うことで控除額が10万円増える特典があります。
税金を納める or 還付を受ける
確定申告後、所得税を納付します。納付方法は窓口や金融機関で行うことができますが、e-Taxを使用した場合も納付期限は確定申告と同じです。
また振替納税を利用して指定した金融機関の口座から自動で納付する方法も選べますが、こちらは事前の申請が必要です。
還付がある場合は、確定申告書に記入した銀行口座に振り込まれます。
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7.フリーランスが確定申告しないとどうなる?
確定申告は原則として、毎年2月16日から3月15日までに手続きを完了する必要があります。期限内に申告しなければ、無申告加算税や延滞税が課せられる可能性があります。
期日を過ぎると本来支払うべき金額以上の税金を支払うことになるため、必ず期日内に申告を済ませるようにしましょう。
期限に間に合わなかった場合の対処法
確定申告の期限を過ぎてしまった場合でも、以下の条件をすべて満たしていれば無申告加算税は課されません。
期限後申告が、期限から1ヶ月以内に自主的に行われていること
納付すべき税金を、法定納期限までに全額納めていること(口座振替納付の場合は、期限後申告を行った日=申告書提出日までに納付)
過去5年間で無申告加算税や重加算税が課されていないこと
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8.確定申告書類の提出方法
確定申告書類の提出方法には直接税務署に持参する方法のほか、郵送やe-Taxを利用する方法もあります。各方法について簡単にご説明します。
郵送で提出する場合
確定申告書類は郵送でも提出できます。送付先は、直接提出する場合と同じ管轄の税務署です。
また国税庁は税務関連の申告書・申請書・届出書は信書に該当するため、税務署に送る際は『郵便物』(第一種郵便)や『信書便物』として送付する必要があるとしています。送付方法に注意が必要です。
税務署へ持参して提出する場合
確定申告書を自分の居住地や事業者の住所を管轄する税務署に直接持参する方法もあります。
すでに作成した書類を持参して提出する方法のほか、確定申告期間中であれば税務署内の申告書作成コーナーで準備した書類をもとにその場で申告書を作成し提出することもできます。
また税務署が閉庁している時間や休日の場合は、時間外収受箱に提出書類を投函することも可能です。
オンラインで提出する場合(e-Tax)
e-Taxを利用すると、確定申告期間中は24時間いつでもオンラインで申告を行うことができます。
ただし事前に電子申告の届出が必要で、さらに電子証明書やICカードリーダーなどを準備しておく必要があります。またいくつかの添付書類については、別途郵送で送付する必要があるためその点にも注意が必要です。
9.e-Taxとは?
e-Taxは国税庁が2004年に導入した「国税電子申告・納税システム」というオンラインサービスで、インターネット接続さえあれば自宅やオフィスから国税に関する手続きを行うことができます。
e-Taxを利用するためにはまず利用環境を確認し「電子証明書」を取得して、「開始届出書」を提出します。利用者識別番号を取得し必要なソフトをインストールすれば、申告書を作成して送信できます。
申告書を作成して印刷して郵送する方法 作成した申告書を印刷した場合、添付書類とともに住所地の税務署に郵送できます。郵便物に押される日付印が提出日と見なされるので、申告期限内に送付することが重要です。
確定申告前に確認したいチェックリスト
確定申告前に確認すべきポイントを以下のように整理しました。
決算の準備ができていますか?
青色申告では取引を一つ一つ記録し、現金取引と預金取引はそれぞれ異なる帳簿に記入する必要があります。一方白色申告では日ごとの売上や経費をざっくりまとめて記帳します。
どちらにしても、確定申告を行う個人事業主には帳簿の保存が義務付けられています。以下では、経費や売上をまとめる際の決算準備に必要なポイントをおさらいします。
使った経費の領収書はすべて経費に計上されていますか?
集めた領収書が経費に漏れなく組み込まれているか確認しましょう。財布やカバンにまだ残っていないか再チェックしてみてください。
現金出納帳にマイナスはありませんか?
現金出納帳がマイナスになることはありません。もしマイナスになっていた場合、事業用現金の不足分を「事業主借」として記入する必要があります。
売掛帳に未回収金がありませんか?
売掛金の計上と回収のバランスが取れているか確認し、未回収金があれば取引先にすぐ確認を取りましょう。
帳簿に不自然な数字はありませんか?
決算前に帳簿に誤りやケアレスミスがないか確認し、必要に応じて修正しておきましょう。税務調査が入る原因になることもあります。
固定資産の登録と減価償却費の計上は行っていますか?
10万円以上のパソコンなどの固定資産は登録が必要です。白色申告では耐用年数に基づいて減価償却費を計上し、青色申告では30万円未満の資産は即時償却も可能です。10万円以上のパソコンなどの固定資産は登録が必要です。白色申告では耐用年数に基づいて減価償却費を計上し、青色申告では30万円未満の資産は即時償却も可能です。
確定申告書類の準備が整っていますか?
1年間の収支に基づいて決算を行うと、次は確定申告書の記入が待っています。確定申告書には添付書類や事前に準備しておくと便利な書類がいくつかあります。それぞれを説明しつつ、注意点も挙げていきます。
支払調書は受け取っていますか?
実は、確定申告書に支払調書を添付する義務はありません。
税務署によっては支払調書の提出を指導する場合もありますが、本来は添付しなくても問題ありません。ただし特に白色申告の方で帳簿管理に不安がある場合、支払調書をもらっておくと申告書作成がスムーズになります。
取引先が複数の場合は、すべての取引先から受け取るようにしましょう。
取引先が多い場合、所得の内訳書は作成しましたか?
所得の内訳書も必須ではありませんが取引先が多い(支払調書が複数ある)場合、事前に作成しておくと申告書作成が楽になります。税務署によっては、提出を求められることもあります。
青色申告決算書は作成しましたか?
会計ソフトでは自動的に決算書を作成し、確定申告用の書類として印刷できる機能があるのが通常です。間違いのない書類を作成しましょう。
収支内訳書は作成しましたか?
収支内訳書は、1年間の収入と経費をすべて記入する書類です。集めた領収書は、この書類の経費項目に分類して書き込んでください。
国民健康保険や国民年金の支払証明書、生命保険の支払証明書はありますか?
これらの証明書は社会保険料控除や生命保険料控除の対象となります。郵送されてきた証明書は大切に保管し、紛失しないようにしましょう。
社会保険料や生命保険料以外の控除はありますか?
医療費が年間10万円以上の場合・災害や盗難にあった場合・扶養家族がいる場合などは、所得控除の対象となります。また住宅ローンを組んでいる場合、税額控除が受けられる場合もあります。
10.確定申告の注意点
この章では、確定申告の注意点をご紹介します。
青色申告の適用は原則翌年から
青色申告を希望する場合、その年からすぐに青色申告を適用できるわけではありません。フリーランスとして新たに事業を始める際に開始時から青色申告を希望する場合は、事業開始から2ヶ月以内に手続きを完了させなければなりません。
青色申告を利用したいのであれば、早めに準備を進めることが大切です。
領収書の保管は必須
経費として計上するためには、事業に関連した支出を証明する領収書やレシートが必要です。
領収書がないと経費として計上できず、損失が生じる可能性があります。フリーランスとして独立した際から、領収書をきちんと保管する習慣をつけることが推奨されます。
スマートフォンでレシートを撮影し、電子データとして保管する方法も一つの選択肢です。
会計ソフトごとに機能や仕様が異なる
会計ソフトにはいくつかの種類があり、それぞれに対応している機能に違いがあります。例えばふるさと納税との連携が挙げられます。
ふるさと納税に関連する確定申告をe-Taxで行う場合、「寄附金控除に関する証明書」が必要です。この証明書はxml形式で提供されるため、データを利用することでe-Taxでの手続きが簡単になります。
しかし会計ソフトの中にはこの機能に対応していないものもあり、その場合には紙の証明書を税務署に提出しなければなりません。
申告内容に誤りがあった場合の修正方法
確定申告が終了した後に「あの売上を計上し忘れていた=税額を少なく申告していた」と気づき、驚くことがあるかもしれません。
もし税額を少なく申告していたことに気づいた場合は、「修正申告」を行う必要があります。確定申告の期限を過ぎると延滞税が発生する可能性があるため、できるだけ早急に申告することが重要です。
逆に税額を多く申告してしまった場合には、5年以内であれば「更生の請求」を行うことができます。
確定申告のルールや注意点は毎年変わる可能性がある
確定申告の基本的な内容は大きく変わりませんが、税法の改正・e-Tax・マイナンバーカードなどの技術の進展によって変化する部分も多くなっています。
最新の情報を確認しておくことをおすすめします。
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11.まとめ
確定申告は1年間の収入と支出を正確に報告し、適切な税金を納める大切な義務です。また確定申告はフリーランスにとって、自身の事業を振り返り、翌年度の計画を立てる貴重な機会でもあります。
適切な確定申告を行うことで税務リスクを回避できるだけでなく、各種税制優遇措置を利用することで事業の収益性を向上させることができます。
日々の帳簿管理や経費の正確な計上・各種控除の活用を意識し、会計ソフトを活用して効率化を図りましょう。
帳簿付け・経費計上・控除の活用が非常に重要であり早めに準備を始め、必要に応じて税務署や専門家に相談することが推奨されます。
会計ソフトや税理士のサポートを活用すれば、確定申告の手続きをスムーズに進めることができるでしょう。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。
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