サラリーマンが副業を始める際に気になることのひとつが、税金に関する対策でしょう。「副業収入にかかる税金の種類は?」「どの程度の収入で確定申告が必要になる?」「節税方法を知りたい」など、さまざまな疑問が出てくるかもしれません。
そこでこの記事では副業収入に関係する税金の種類・確定申告が必要となる条件、さらに節税に役立つポイントについて詳しく解説していきます。
目次
1.副業で得た収入にかかる主な税金とは?
副業の収入に関連する税金として主に「住民税」「所得税」「消費税」があります。
住民税と所得税は、どちらも個人の所得に対して課税されます(収入から経費などを差し引いた額)。納税額は通常、確定申告を通じて決まります。所得税は「国税」として国に納め、住民税は「地方税」として都道府県や市町村に納めます。それぞれ、課税機関が異なる点に注意が必要です。
さらにインボイス制度(適格請求書等保存方式)に基づき、副業で取引先に対して適格請求書(インボイス)の発行が求められる場合があります。
インボイスは登録された適格請求書発行事業者だけが発行でき、事業者として登録することで消費税の課税事業者となります。これにより副業でも消費税の納税義務が生じるため、消費税の確定申告が必要となる場合があります。
2.会社員は副業で個人事業主になるべきか?
副業の種類によっては、サラリーマンでも副業から個人事業主に転身することが可能です。しかし、実際に個人事業主として活動を始めるべきかどうかについて迷う方もいるかもしれません。
この章では副業を始めた場合にどのタイミングで個人事業主になるべきか、またどのような副業形態であれば個人事業主として認められるのかについて解説します。
サラリーマンを続けながら個人事業主になるかは本人の判断次第
副業を行っているサラリーマンは個人事業主として登録することができますが、必ずしもその必要があるわけではなく個人の判断に委ねられています。公務員以外には法的な制限もありません。
サラリーマンが副業を個人事業主として行うかどうかは、副業で得られる所得を基に判断するのが賢明であるといえます。
ただし会社の就業規定で副業が禁止されている場合、発覚すると罰則を受ける可能性があるためリスクを理解した上で事前に会社と相談するなどの対策を講じることが重要です。
3.副業の収入はどの所得区分に分類される?
所得は大きく10種類に分類されますがこのうち経費を差し引くことができる所得は、「雑所得」「事業所得」「不動産所得」の3つに限られます。
なお副業で得た所得においても、経費計上が認められるのは同様の所得に限られます。以下、それぞれの所得の特徴について詳しく説明します。
雑所得にあたるケース
雑所得とは、所得税法で定められた9つの所得区分のいずれにも該当しない所得を指します。副業による収入についても、事業所得に該当しない場合は雑所得として扱われます。
具体例としてはインターネットオークションやフリマアプリで得た売上利益・FX取引による利益・年金収入などが挙げられます。
また不動産の貸付による収入についても、事業所得に該当しない場合は雑所得として扱われます。
事業所得に該当する場合
事業所得とは農業・漁業・小売業・製造業など、事業活動から得た収入を指します。
個人事業主やフリーランスが本業として取り組んでいる場合、その収入のほとんどが事業所得となります。
一方で副業の場合、それが事業所得に該当するかどうか迷う人もいるでしょう。国税庁では記帳や帳簿の保存が適切に行われており営利目的で継続的に計画的な運営がされている場合、その所得を事業所得と認めるとしています。
そのため副業であっても条件を満たせば事業所得となる場合もあれば、そうでない場合もあります。
不動産所得として扱われる場合
不動産所得とはアパートや駐車場、土地などを貸し出すことによって得られる収入を指します。また、船舶や航空機の貸付による収入も不動産所得に含まれます。
たとえば自分が所有しているマンションの一室を賃貸して得た家賃収入は、不動産所得として扱われます。ただし土地や建物を売却して得た利益は不動産所得ではなく、譲渡所得に分類されるため取り扱いに注意が必要です。
4.サラリーマンが副業で個人事業主になるべきタイミングとは?
サラリーマンが個人事業主として開業届を提出するタイミングはいつでしょうか。その目安となるのは、副業から得る年間所得の額です。
年間所得が20万円を超えたときが目安
サラリーマンが個人事業主になるかどうかを考える際の目安は、副業の年間所得が20万円を超えた時です。
年間所得が20万円を超えると、確定申告が必要になります。開業届を提出していれば青色申告を利用できるため、節税効果を享受でき、所得税を抑えることが可能です。
20万円を少し超える程度ではすぐに開業届を提出する必要はありませんが、検討を始めるタイミングには差し掛かっていると言えるでしょう。
安定して高い副収入があるとき
副業の所得が年間数百万円に達しそれが安定して続いている場合には、個人事業主として開業することでメリットが大きくなる可能性があります。
通常副業で得た収入は「雑所得」として扱われることが多く、雑所得では青色申告による控除を受けることができません。しかし継続的な収入を得ている場合や本業と同じくらいの労力や時間を費やしている場合には、その副業は「事業所得」として認められる可能性があり青色申告を利用できるでしょう。
安定した収入を得続けている副業の場合、個人事業主として開業して「事業所得」として青色申告を行って最大65万円の控除を受けるのが有利です。
一方で所得が65万円以下の副収入の場合、開業手続きをしても税金面や金銭面で大きなメリットはないかもしれません。
ただし開業届を提出することで社会的な信用が高まり、企業からの依頼を受けやすくなることもあるためメリットとデメリットを比較して慎重に判断することが重要です。
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5.赤字や20万円以下でも確定申告したほうがいいケース
副業で得た年間所得が20万円以下であれば、基本的に確定申告の義務はありません。しかし以下のような状況では、副業の所得が20万円以下でも確定申告を行うことが推奨されます。
住宅ローン控除(初年度)や医療費控除を受けたい場合
税金の還付を受けたい場合
例えば住宅ローンを利用して新築・購入・増改築などを行った際、特定の条件下で住宅ローン控除を受けられます。この控除は勤務先に必要書類を提出すれば年末調整で処理されますが、初年度分は自分で確定申告をしなければなりません。
また医療費控除は医療費が一定額を超える場合に適用されるもので、年末調整では対応できないため、控除を受けるには確定申告が必要です。控除を受けるための基準金額は所得などによって異なります。
さらに副業所得が20万円以下であっても、確定申告をすることで税金の還付を受けられる場合もあります。例えば副業先でも源泉徴収が行われており確定申告により過剰に納税されていたことが判明した場合、払いすぎた税金が還付されることがあります。
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6.副業の収支別に見るサラリーマンの対応方法
会社員が副業をしている場合その所得が赤字または黒字である場合、それぞれどのように対応すべきかについて説明します。
赤字だった場合の副業節税:損益通算を検討する
副業で赤字が出た場合には損益通算を活用することで全体の所得を減らし、節税につなげることが可能です。
損益通算とは、副業による損失を本業やその他の所得の利益と差し引くことができる制度を指します。
たとえば副業で20万円の赤字・本業の給与で40万円の黒字がある場合、赤字分を差し引いて所得を20万円に抑えることができます。
ただし損益通算が認められるのは、次の所得に限られています。
事業所得
不動産所得
山林所得
総合課税の譲渡所得
雑所得は損益通算の対象外となるため、副業で出た収入を事業所得として認められるよう意識しておきましょう。
黒字だった場合の副業節税
業所得が黒字の場合、税金を減らすために節税対策を講じることで、納める税額を軽減することができます。日本では所得が増えると税率も高くなるため、課税対象となる所得額を抑えることが節税において重要となります。
7.会社員が使える節税方法とは?
この章では副業で社業で利用できる節税方法をご紹介します。
年末調整で適用できるものもありますが、所得税の確定申告で活用できる所得控除についても詳しく説明します。これらは利用可能な節税方法なので、ぜひ今年から取り入れてみてください。
所得控除をしっかり活用する
支払う税金の額は所得に適用される税率を掛け算することで決まりますが、この所得から差し引くことができるのが「所得控除」です。
所得控除が多いほど課税される所得が減り、支払う税金も少なくなります。
所得税の計算方法は以下の通りです。
(所得 - 所得控除)× 所得税率 - 税額控除 = 所得税額 |
適用できる所得控除は漏れなく申告し、節税をしましょう。確定申告の必要がない会社員の方も、年末調整で以下の控除を申告することで節税できます。
基礎控除:全ての納税者に適用される控除(令和7年から所得金額2,500万円以下の場合)。2,350万円超で控除額が減少、2,500万円超で0円。
扶養控除:扶養親族がいる場合に、条件に応じて受けられる控除。
配偶者控除:配偶者の所得が58万円以下(令和7年から)の場合に受けられる控除。納税者の所得が900万円以下の場合、控除額は基本的に38万円。
配偶者特別控除:配偶者控除が受けられない場合に、一定の条件を満たせば所得に応じて受けられる控除。
勤労学生控除:勤労学生が受けられる控除、額は27万円。
ひとり親控除:ひとり親で合計所得が500万円以下の場合に受けられる控除。額は35万円。
寡婦控除:寡婦で合計所得が500万円以下の場合に受けられる控除。
障害者控除:納税者自身や生計を一にする配偶者、扶養親族が障害者である場合に受けられる控除。
地震保険料控除:支払った地震保険料の掛け金に応じて受けられる控除。
生命保険料控除:支払った生命保険料の掛け金に応じて受けられる控除。
小規模企業共済等掛金控除:小規模企業共済掛金を支払った金額に応じて受けられる控除。
社会保険料控除:自身や生計を一にする配偶者、扶養親族の社会保険料を支払った場合に受けられる控除。
医療費控除:一定の金額を超える医療費を支払った場合に受けられる控除。
雑損控除:災害や盗難で資産に損失を受けた場合に受けられる控除。
寄附金控除:国や地方自治体、特定公益増進法人に寄付をした場合に受けられる控除、ふるさと納税も含む。
副業における経費の上限はある?
経費には上限がないため経費が収入を超えて、結果的に所得が赤字になることもあります。ただし、その場合に計上できる経費は副業に関連して支出したものに限定されます。
確定申告書や帳簿に記入する際にはどの支出が経費として認められるかを十分に理解した上で、正確に記録することが重要です。
経費として認められるケース
副業であっても、事業に関連する支出は経費として計上できます。例えば自宅で副業をしている場合には自宅の設備に関する費用も事業に必要な支出とみなされ、一部は経費として認められます。
以下は、副業で経費計上できる主な項目です。
家賃:事務所を借りている場合、その家賃は経費として計上できます。自宅で副業を行っている場合、家賃は業務に使用する割合で按分して経費として計上します。
事業に必要な設備や消耗品の費用:副業に必要な設備や消耗品の費用も経費として計上可能です。例えば文房具・電化製品・衣類などが業務に必要であれば、それらも経費に含まれます。具体的には以下の通りです。パソコン・携帯電話・インターネット回線・水道光熱費・自家用車・バイク・文房具類など。これらの費用は業務とプライベート両方で使っている場合、家賃と同様に按分して経費に計上します。
各種保険料:事業用の設備にかけている保険料も経費として計上できます。たとえば自宅兼事務所の火災保険料や地震保険料、事業に使用する自動車の保険料などです。
交際費や調査費:事業に関連する交際費や調査費も経費として計上可能です。具体的には顧客との打ち合わせでの外食費・カフェ代・書籍購入費・取材のための交通費などです。
プライベートとの境界があいまいな場合もありますが、業務に必要かどうかが基準となります。例えば「カフェで仕事をした」場合、そのカフェの費用(コーヒー代など)は経費として認められることがありますが、「ついでに食事もした」場合は個人的な支出として認められにくいでしょう。
プライベートと事業用で共用しているものに関しては、経費の按分が必要です。たとえば自宅を事務所や店舗として使用している場合、家賃や光熱費も経費として計上することができます。
ただし経費はあくまで「事業運営に必要な支出」に限られますので、事業に使用した分のみを算出し適切に経費として計上しなければなりません。このような費用の按分方法を「家事按分」といいます。
例えば自宅を副業に使っている場合の家事按分の方法は主に以下の2つのアプローチがあります。
スペースの割合に基づく方法:居住スペースと事業に使用しているスペースの面積比率を使って按分します。
使用時間の割合に基づく方法:事業で使用した部屋の使用時間に応じて按分します。
以下は、「スペースの割合」による家事按分の例です。自宅全体の面積から副業で使用している面積の割合を求め、その比率を家賃に掛けて経費計上できる額を算出します。
1ヶ月の家賃:20万円
自宅の総面積:200㎡
副業で使用している面積:60㎡
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経費計上の際には金額を証明できる書類(領収書など)が必要となります。家事按分を行う際も、プライベート支出と事業用支出を分けるために証憑をしっかり管理することが重要です。
経費にできない支出について
経費として認められるのは副業に直接関連する支出のみであり、プライベートな支出は含まれません。
例えば副業の打ち合わせで使用する洋服やバッグなどは、副業だけでなくプライベートでも使う可能性があるため、ほとんどの場合には経費として計上できません。
また所得税・住民税・年金・健康保険料などの税金に関する支出も経費として認められません。
少額減価償却資産に関する特例制度とは
少額減価償却資産の特例とは、取得金額が30万円未満の減価償却資産について、購入した年に一括で経費計上できる仕組みをいいます。
この特例を活用することで、設備などの購入費用をその年にまとめて経費にでき、結果として大きく利益を抑え、節税効果を得ることが可能です。適用期限は2026年3月31日までとなっています。
なお、個人事業主がこの特例を利用するためには、青色申告の承認を受けていることが条件です。
さらに、適用できる金額には制限があり、1年間で最大300万円までとなります。
仮に30万円未満の資産を複数購入し、合計が350万円に達した場合、全額を経費にすることはできないので注意が必要です。
短期前払費用の特例について理解する
短期前払費用の特例とは前払費用のうち、1年以内にサービスや労務の提供を受けるものについてその支払った事業年度にまとめて経費として処理できる仕組みを指します。
前払費用とは本来サービスを受ける前に支払ったお金のうち、支払った年のうちにサービスが提供されていない分に関する費用のことです。例えば事業用の家賃やシステム利用のリース料や副業に活かすための雑誌の年間購読料など、継続的に同じ内容のサービスを受けるために支払った費用がこの特例の対象になります。
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8.会社員(サラリーマン)が押さえておきたい節税テクニック
サラリーマンが税金を軽減するために活用できる制度を3つご紹介します。
ふるさと納税
ふるさと納税とは故郷や応援したい自治体に寄付を行うことで、寄付額に応じた地域の特産品などの返礼品を受け取れる制度です。寄付金のうち自己負担額2,000円を差し引いた金額は、所得税や住民税から控除されます。
控除の上限額は収入や家族構成により異なり、詳細はふるさと納税のポータルサイトなどで確認できます。
ふるさと納税は寄付金のうち2,000円を超える部分が控除されるため厳密には税金を直接減らすわけではありませんが、自己負担2,000円で自治体から返礼品がもらえるため非常にお得な制度といえます。
通常ふるさと納税には確定申告が必要ですが、会社員の場合は「ワンストップ特例制度」を利用することで確定申告を行わずに控除を受けることができます。
この制度を利用するには寄付先が5つの自治体以内である必要があり、申請書を各自治体に提出することで確定申告なしで控除を受けられます。
NISA(少額投資非課税制度)
NISAは、株式や投資信託などの金融商品から得られる利益に対して税金がかからない制度です。通常これらの利益には約20.315%(復興特別所得税を含む)の税金が課されますが、NISA口座を使って取引を行うことでこの税金を回避できるため手元に残るお金を増やすことができます。
2024年以降NISA制度は大幅に拡充され、恒久化する予定です。これにより非課税投資枠は大きく増加し、非課税期間も無制限になる見込みです。
資産運用の税金を節税したい場合には、NISAを上手に活用することをおすすめします。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoは、自分で掛金を支払い、運用先を選んで資産を増やす私的年金制度です。公的年金に加えて利用することで、将来の年金額を増加させることができます。定期預金・保険・投資信託など、金融機関ごとに提供される様々な商品から自分で運用先を選択できます。
またサラリーマンでも、年金制度に加入していればiDeCoに加入できる場合があります。会社員の掛金拠出限度額は勤務先の年金制度によって異なります。
iDeCoには、以下の3つの税制上の優遇措置があります。
掛金は全額所得控除
運用益は非課税
受け取る際に所得控除が適用
iDeCoの掛金は全額が所得控除されるため、所得税や住民税を軽減できます。
たとえば税率が20%(所得税10%、住民税10%)の人が毎月1万円を拠出すると、年間で2万4,000円の節税が可能です。さらにNISAと同様に、iDeCoの運用益には税金がかかりません。将来、掛け金を受け取る際には「退職所得控除」や「公的年金等控除」が適用され、税負担が軽減されます。
iDeCoは原則として60歳まで掛金を引き出せない点に留意する必要がありますが、税金を減らしながら老後資金を準備できる非常に有利な制度です。
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9.青色申告を選ぶメリットと押さえておきたい注意点
確定申告には青色申告と白色申告があり、青色申告を選ぶことで大きな節税効果を得ることができます(最大で65万円の控除が可能)。そのため青色申告を活用すれば、副業を行いながら節税効果を享受することができます。
青色申告特別控除を受けられる
青色申告特別控除という所得控除を活用することができ、条件を満たすことで最大65万円の控除を受けられます。この控除を利用することで、かなりの節税効果を期待できます。
赤字を3年間繰り越して活用できる
この制度は「純損失の繰越控除」と呼ばれ、最大で3年間は今年の赤字を翌年以降の所得から差し引くことができます。青色申告を行っている場合今年の赤字を翌年度の黒字に充てることで、翌年の税負担を軽減できるというメリットがあります。
事業に必要な支出を経費として認められる
事前に届出を行うことで、家族に支払った給与を経費として計上できる特典があります。この給与は「青色事業専従者給与」と呼ばれます。
貸倒引当金を経費として計上することができる
貸倒引当金とは取引先が倒産した場合などに備え、売掛金などが回収できなくなるリスクを事前に見積もり、その金額をあらかじめ計上しておくための資金です。
貸倒引当金の計上には不正な利益操作を避けるため、合理的な範囲での計上が求められます。青色申告をしている場合、基本的に売掛金の5.5%以下を一括評価に基づき貸倒引当金として経費計上することが可能です。
一方白色申告でも貸倒引当金を経費として計上できますが、青色申告と白色申告では評価方法が異なります。白色申告では個別評価に基づく計上となるため、青色申告のような節税効果を得ることはできません。
【注意点】専門的な記帳作業が必要になる
青色申告には多くの利点がありますが、注意すべき点もあります。それは、帳簿の記帳方法が複雑であることです。
白色申告では簡易な方法で記帳できますが青色申告では複式簿記を用いて記帳しなければならないため、手間がかかります。
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10.副業した場合の住民税申告
副業をしている場合、確定申告時に特に注意が必要なのが住民税の申告です。給与以外の収入がある場合、確定申告を行うことでその所得に関する住民税の申告も同時に行うことになります。
副業をしている方が赤字の場合に確定申告を行う際、注意すべきポイントは「住民税の徴収方法」です。
サラリーマンは、通常住民税を「特別徴収」(給与から天引き)で納めています。確定申告時に副業の住民税の徴収方法を選ぶ際、「特別徴収」を選択すると問題が生じます。なぜならその場合、副業分の住民税も会社の給与からの天引きに加算され、結果として会社に副業が知られてしまうからです。「普通徴収」を選択しましょう。
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11.まとめ
副業をしている会社員の方に向けて、節税のポイントを網羅的に解説しました。副業による利益が1円~20万円以下であれば原則として所得税の確定申告は不要ですが、利益が発生している場合は住民税の申告が必要になります。
住民税の申告書類は自治体ごとに異なるため、申告の際は事前にお住まいの役所へ確認しておきましょう。
会社員のための節税対策
・副業が赤字なら、所得税の還付を受けられる可能性がある
・副業が黒字なら、収入にかかる税金の節税を検討しよう
・会社員が活用できる所得控除や、iDeCo、ふるさと納税も上手に取り入れよう
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。
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