機械学習エンジニアは、データの収集や整形、アルゴリズム開発・実装などを仕事とするエンジニアです。AIに関する専門職として活躍できるため、今後も高い需要が見込まれるでしょう。
そんな機械学習エンジニアに興味があるのなら、仕事内容のほかに年収などの待遇について確認しておくのもポイントです。一般的にどのくらいの年収が得られるのかを把握しておくことで、就職・転職先を選ぶときの軸にできます。さらに収入アップの方法を知ることで、将来的に高年収を得られる機械学習エンジニアとして働けるでしょう。
本記事では機械学習エンジニアの年収や就職・転職時のロードマップ、求人情報について解説します。「やめとけ」「オワコン」とマイナスのイメージを持たれる理由も解説するので、これから機械学習エンジニアを目指す方はぜひ参考にしてください。
目次
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1.機械学習エンジニアの平均年収
機械学習エンジニアになるには、平均年収を把握して将来の生活設計を立てるのがポイントです。以下では、機械学習エンジニアの平均年収について解説します。
機械学習エンジニアの平均年収は?
機械学習エンジニアの平均年収は、レバテックキャリアの情報を参考にすると約751.6万円となっています。また、機械学習エンジニアをAIエンジニアとして考えた場合、厚生労働省の職業情報提供サイトjob tagのデータでは平均年収が628.9万円です。
国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、正社員の平均年収は530万円であるため、機械学習エンジニアの年収は一般的な収入より高いと言えるでしょう。
フリーランスの機械学習エンジニアの平均年収は1,000万円近い
機械学習エンジニアは、フリーランスでも活躍できる職業です。需要の高さから多くの案件・求人があり、収入も高くなっています。具体的にはITフリーランス向けの案件・求人情報を掲載している「フリーランスボード」を参考にすると、年収の目安は985万円となっています。(2025年06月04日時点)
機械学習エンジニア向けの案件・求人の平均単価は82.1万円、最高単価は220万円です。高報酬の求人に参画できれば、年収1,000万円以上も目指せるでしょう。
機械学習エンジニアとAIエンジニアの違いとは?
機械学習エンジニアとAIエンジニアは同じ職業として扱われることもありますが、それぞれの特徴を確認することで違いがみえてきます。具体的にはAI開発および機械学習に特化した業務を担当するのが、機械学習エンジニアです。
一方で、AIエンジニアはAI開発に関わるあらゆる業務を担当する職業であり、関連するITエンジニアの総称としても使われています。そのため機械学習エンジニアもAIエンジニアに含まれていて、機械学習エンジニア=AIエンジニアとして表記されるケースもあります。その他、データアナリストやデータサイエンティストなども、AIエンジニアとして扱われます。
2.機械学習エンジニアの求人例
機械学習エンジニアを目指すのなら、実際の求人例をチェックしておくのがおすすめです。以下では、フリーランスの機械学習エンジニアの求人・案件を参考に、実際にどんな募集が行われているのか解説します。
フリーランスの機械学習エンジニアの求人・案件
「フリーランスボード」の機械学習エンジニアのページを見てみると、以下のような求人・案件が掲載されています。
【機械学習エンジニア】大手損害保険向け生成AIプロジェクト基盤開発案件
業務委託(フリーランス)
・主に下記作業をご担当いただきます。 - 内部、外部の設計 - 生成AIプロダクトの開発
・コミュニケーション能力 ・AWSサービスを用いた仕様策定および開発経験 ・生成AIプロジェクトの経験 ・Pythonを用いたプログラム開発経験
週5日
2回
2025/07/01
一部リモート可 |
(引用元:フリーランスボード)
【データエンジニア】事業会社向けデータ分析案件
業務委託(フリーランス)
・分析基盤システムの設計、構築、運用 ・収集するログデータの設計、DBデータの整備、集計、管理 ・BIツールやKPIダッシュボードの開発、運用 ・データアナリストへの技術的サポート ※ご経験によっておまかせする作業内容が変わります。 必須スキル ・SQLを用いたデータ抽出、加工経験 ・AWSもしくはGCPを用いた開発経験
・AWS、GCPを用いたデータ分析基盤の構築経験 ・スマートフォンゲームの分析に対する興味、関心 ・SQL、Pythonを用いたデータ分析経験 ・Goを用いたサーバサイド開発経験 ・統計の知見 ・機械学習の知見
週5日
1回
即日
一部リモート可 |
(引用元:フリーランスボード)
上記のように、月収100万円を超えるフリーランス案件・求人も多数あります。継続して高収入の案件・求人を確保できれば、先の通り年収1,000万円以上も夢ではありません。
高収入の案件・求人を見つけるには?
機械学習エンジニアとして高年収を実現するには、待遇の良い案件・求人を素早く見つけて応募するフットワークの軽さが求められます。機械学習エンジニアの案件・求人を見つけるには、求人サイトや転職エージェントに登録し、各サービスのメリットを上手に活用していくのがポイントです。
求人サイトには機械学習エンジニアの案件・求人情報が日々更新されていくため、こまめにチェックする習慣を身につけて、すぐに応募できるように備えると良いでしょう。
転職エージェントはこちらの求める条件に合わせて求人・案件をピックアップして紹介してくれるため、自分で探す手間を省ける点がメリットです。一方で、エージェントとしっかり意思疎通が取れていないと、魅力的な案件・求人をなかなか紹介してもらえない可能性もあります。
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3.高年収の機械学習エンジニアになるには?ロードマップを紹介
高年収を得られる機械学習エンジニアになるには、ロードマップを把握して必要な知識・技術の習得に励むのが基本です。以下では、機械学習エンジニアになるのにどのようなロードマップが考えられるのか、わかりやすく解説します。
機械学習エンジニアの基本的なロードマップ
機械学習エンジニアになる際のロードマップには、以下のような流れが基本として挙げられます。
プログラミングスキルを習得する
数学・統計に関する知識を学ぶ
データサイエンスの能力を身につける
機械学習の基本的な概念を把握する
上記の流れを基本とし、機械学習エンジニアに必要な能力を高めていくことが就職・転職を叶える方法となるでしょう。機械学習エンジニアとしての基礎を固めつつ、実績と経験を確保していければ、独立してフリーランスエンジニアとして活躍する将来設計も立てられます。
専門スキルを身につける
機械学習エンジニアになるには、専門性の高いスキルを積極的に身につけていく必要があります。ロードマップにもあるように、プログラミングスキル・数学と統計の知識などは、働くうえで必須のものとなります。プログラミングではPythonを主に使用するため、まずは最優先で習得を目指しましょう。
また、「TensorFlow」「scikit-learn」などの学習ライブラリやフレームワークを学び、開発時に役立てることも大切な準備の1つです。その他にも、アルゴリズムがデータを読み取れるように整形するデータプレパレーションスキルや、データベース・セキュリティ・クラウドの基礎知識を身につけて、さまざまな案件・求人に対応できる機械学習エンジニアを目指すのも重要です。
関連資格を取得する
機械学習エンジニアとしての能力を証明するために、関連資格を取得するのも1つの方法です。例えば以下の資格は、機械学習エンジニアのスキルを持つ人材としてのアピールに使えるでしょう。
上記の資格を取得することで、機械学習エンジニアになる際の就職・転職時にスムーズなアピールが可能となります。資格取得の過程で専門知識を身につけられるため、実際の業務で活かせれば機械学習エンジニアとしての評価を高め、高年収を実現するきっかけにもなるでしょう。
求人をチェックして好条件の職場に転職する
先にも解説したように、好条件の案件・求人をチェックして応募することも、機械学習エンジニアになるための基本です。どれだけ高いスキルを身につけても、こちらから積極的にアピールしなければ採用につながりません。定期的に求人・案件の情報を収集して整理し、応募する企業を絞り込んでいくと良いでしょう。
応募する企業を選ぶ際には、何を基準にするのか明確にしておくことが重要です。「年収が多い」だけでなく、仕事内容・福利厚生・企業の評価なども複合的に判断し、自分にとって最適な職場を探すことが大切です。自分にとって何を重視するのかも考えて、応募先の優先順位をつけられるように備えるのもポイントになります。
未経験からでも機械学習エンジニアになれる?
機械学習エンジニアは、未経験からでも目指せるIT職です。しかし、当然ながら経験者と比較されるため、より多くの努力が必要になるでしょう。未経験から機械学習エンジニアを目指す場合にも、上記のロードマップを軸に学習を進める方法がおすすめです。まずはPythonを扱えるようになってから、実際の業務に合わせて必要なスキルの習得を行うことで、効率よく機械学習エンジニアへの就職・転職を目指せるでしょう。
未経験の場合には、ITスクールなどに通って勉強をする環境を整備することも大切です。未経験の場合、「何から手をつければいいのかわからない」という事態に陥る可能性があるため、勉強の道筋を示してくれるITスクールに通うのは合理的な判断になり得るでしょう。
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4.機械学習エンジニアがやめとけ・オワコンと言われる理由
機械学習エンジニアは高年収を見込める魅力的なIT職ですが、「やめとけ」「オワコン」といったネガティブな言葉で語られることがあるのも事実です。
以下では、機械学習エンジニアが「やめとけ」「オワコン」と言われる理由を解説します。
高い能力が必要になる
機械学習エンジニアには、業務上高い能力が求められます。さまざまな知識とフレームワーク等を活かして働く必要があるため、能力不足に悩むケースも考えられます。複雑なアルゴリズムに対して適切な対応をするには、機械学習やディープラーニングについて最先端の知識を保有しなければなりません。そういった求められる能力の高さゆえに、仕事についていけなくなる人が増えるため、「やめとけ」と言われることがあります。
機械学習エンジニアになってからも積極的な勉強が求められる
機械学習エンジニアは、仕事についてからも多くのことを勉強しなければなりません。AI業界は凄まじいスピードで発展を続けているため、新しい技術やツールが日々開発・公開されています。そういったスピードについていくためには、積極的に新しい知識を学んで、今のAI業界全体を理解する努力が必要になります。
しかし、機械学習エンジニアとして働きながら新しいことを学び続けるのは、決して簡単なことではありません。仕事を続けていくうえでの難易度の高さも相まって、機械学習エンジニアは「やめとけ」と言われることがあるでしょう。
AIによる開発が主流になる可能性がある
AI技術の発展によって、AI自体のレベルも高まり続けています。従来は人の手が必須だった業務も、AIだけでカバーできるようになっているケースも多いです。そのため技術の進歩次第では、機械学習エンジニアが行っていた業務もAIが対応するようになる可能性があります。
実際に機械学習の設計やチューニングをAIで自動化する「AutoML」「Amazon SageMaker」などのツールが、開発現場に導入されつつあります。ツールを使うことで作業効率を高めることが可能ですが、将来的にAIが対応できる業務範囲が広がると、機械学習エンジニアの仕事を奪う可能性も懸念されます。
そういったAIとの競争に巻き込まれるケースを考慮して、機械学習エンジニアは「やめとけ」と言われることもあります。
AIに対する規制が強化されることも懸念される
AIは多くの業界に影響を与える技術であるため、ときにはそれを脅威と感じるケースもあります。今後AIの規制強化が進むような結果になると、機械学習エンジニアの仕事が激減するリスクも考えられるでしょう。実際に2024年5月21日には、「欧州(EU)AI規制法」が成立しています。この法律はAIをリスクの程度で分類しつつ、程度に合わせた規制を行う内容となっています。
このような規制案が各国で認められるようになると、AIを活用する場面が減り、機械学習エンジニアの需要も低下する恐れがあります。AIを認めるかどうか判断しきれていない曖昧な状況である点は、機械学習エンジニアが「オワコン」と呼ばれる理由の1つになっています。
5.機械学習エンジニアの将来性について
AIを取り巻く状況は常に変化しているため、機械学習エンジニアとして働くことに不安を覚える方もいるでしょう。そこで以下では、機械学習エンジニアの将来性について解説します。
機械学習エンジニアは今後も需要が見込まれる
機械学習エンジニアは、今後も高い需要が見込まれる職種だと言えます。AIには規制などの課題があるとはいえ、実際に多くの業務で役立っている実績があります。既にAIを取り入れている企業はもちろん、これから本格的な導入を検討している企業にとっても、機械学習エンジニアの存在は重要なものとなるでしょう。
そのうえ、AIはまだまだ発展途上の技術です。これからもさらなる改善と進化が期待されることから、その支援が行える機械学習エンジニアの需要は高まっていくと考えられるでしょう。
需要に応えられる機械学習エンジニアになるのが重要
機械学習エンジニアの将来性を活かすには、需要に応えられる能力を持つIT人材になることが重要です。機械学習エンジニア同士の競争に勝てないと、高年収を得られる案件・求人を確保するのが難しくなる可能性があります。積極的な学習と実務経験を通して実力を身につけて、企業・クライアントの要望に応えられる優秀な機械学習エンジニアになることが、今後の目標になり得るでしょう。
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6.まとめ
機械学習エンジニアの需要は、AIの発展と比例して高まりつつあると言えます。高年収を実現できる案件・求人も多数あるため、求人サイトや転職エージェントを活用して仕事の情報を集めていくのがおすすめです。
機械学習エンジニアは会社員としてだけでなく、フリーランスで働くことも可能な職種です。高度な業務に対応できるスキルを身につけて独立すれば、年収1,000万円以上も実現可能です。この機会に機械学習エンジニアのフリーランスになるために、必要な準備を進めてみてはいかがでしょうか。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。
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