ネットワークエンジニアはITインフラを動かしている職業の1つで、社会におけるあらゆるITシステムの基盤を支えています。現代社会では、さまざまな所にITシステムが導入されているため、多くの企業から求められている人材といえます。このため、未経験者であっても転職できる見込みもあります。
ただし、ネットワークエンジニアは技術職であるため、業務に従事するには専門的なスキルや深い知識が不可欠です。これらを実務をとおして身につけることもできますが、自分で勉強することである程度の知識や技術を習得し、自社に早い段階で貢献できるようになります。
本記事では、ネットワークエンジニアの概要、ネットワーク保守運用に役立つ資格、ネットワークエンジニアの平均年収などを解説します。
目次
1.ネットワークエンジニアとは
ネットワークエンジニアとはIT基盤であるネットワークを構築し、ユーザが利用できる環境の提供を行う職業です。
作業工程には要件定義、設計、構築、テスト、運用、保守がありますが、ネットワークエンジニアとして働き始めた人の多くが任される業務として多いのが運用・保守工程です。
保守運用にはネットワークの維持管理業務、および発生したトラブル対応などが含まれます。他の工程と比べて求められるスキル要件が低いため、未経験者でも比較的挑戦しやすいといわれています。
ネットワーク保守運用の違い
ネットワーク保守運用といわれているように、運用と保守は同一の業務と考える人もいますが、実際はこれら二つを分けて考え、業務を分担している企業も多くあります。
ネットワーク保守はネットワークが繋がらなかったり、負荷が上がって遅延が発生したりしないように対策を行います。保守業務は作業中にネットワークを切断することも多いため、運営日以外のメンテナンス日に行うことが多いです。
一方、ネットワーク運用はネットワークの維持管理業務のことです。ネットワークにトラブルが起きたときに対応したり、メンテナンスを行ったりして、ネットワークの安定性を保ちます。また、ユーザーが使用しているLANケーブルの断線に対応することもあります。
ネットワークエンジニアの必要スキル
ネットワークエンジニアとはITシステムのネットワークを支える仕事ですが、さまざまな業務があり、求められるスキルも多いです。
その中でもネットワーク設計スキルは重要です。設計工程において要件定義工程で収集した情報に基づきネットワークの設計を行いますが、設計に誤りがあった場合はその後の工程でもトラブルが生じ、やり直しになることも珍しくありません。要求に則したネットワークを設計することは必須条件といえます。
なお、設計にはいくつか種類があります。システム全体の全体像を把握する基本設計、基本設計で定義を行った各機能をどう実現するかを検討する詳細設計があります。
ネットワークエンジニアにはその他にも、ネットワーク関連の文書作成スキル、ネットワーク構築スキル、トラブルに迅速に対応するスキルなどが不可欠です。
ネットワークエンジニアはITシステムのネットワークの設計に実際にかかわるだけではありません。ネットワークの知識がない人にも行った業務を分かりやすく伝えたり、トラブルが生じたら迅速に解決したりするのも重要な仕事であるためです。
このため、求められるスキルは専門的なものからビジネスパーソンとしての基礎スキルまで多々あります。
2.ネットワークエンジニアに役立つ資格
ネットワークエンジニアとして働く上で資格は必要ありません。しかし、業務に関連する資格を保有していると、転職時に評価されやすく、好待遇で採用されることもあります。
ネットワーク保守に役立つ資格として、以下の4つが挙げられます。
Linux技術者認定試験 LinuC
それぞれ確認していきましょう。
Linux技術者認定試験 LinuC
Linux技術者認定試験 LinuCはWebサーバーOSの代表格であるLinuxに関する知識を有することを証明できるベンダー資格です。
これからネットワークエンジニアとして働きたい人におすすめできる資格で、LPICはlevel1からlevel3までの3段階に分かれています。
この資格があればクラウド・DX時代のITエンジニアに必要とされるシステム構築から運用管理に必要なスキルを有していると証明できます。出題範囲はアーキテクチャ設計からシステム構築、運用管理まで幅広くカバーしています。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験はIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が主催している国家資格です。
ITエンジニアとして働きたい人にとっての登竜門ともいわれる資格で、プログラマーやシステムエンジニアに転身したい人やIT業界で働きたい学生が主な受験層となっています。
この資格の勉強をすることでIT全般の基礎知識を固められるため、ネットワークエンジニアをイチから目指したい人は最初に取得を目指すのもよいでしょう。
基本情報技術者試験の出題範囲をマスターすることで、IT全般に関する基本的な事項を理解し、システムやサービスの提案活動に参加したり、ソフトウェアを設計できるようになったりします。
ネットワークスペシャリスト試験
ネットワークスペシャリスト試験を取得することで、ネットワークシステムの企画・要件定義・設計・構築・運用・保守における必要知識とスキルを証明できます。
情報処理技術者試験の中でもネットワークの領域に特化した資格ですので、ネットワークエンジニアとして働きたい人におすすめです。
ネットワークシステムを企画から保守まで担うスキルはもちろん、情報セキュリティを含む情報システムの企画から保守においてネットワーク関連の技術支援を行うスキルも身につきます。
CCNA/CCNP認定
CCNA/CCNP認定はネットワーク機器において世界シェア1位を誇っているシスコシステムズ社の製品についての知識やスキルを有することを証明できる資格です。ネットワークの設計、運用、トラブルシューティングのスキルを客観的に証明できます。
CCNAはネットワークの基礎となる部分が出題範囲となっているため、ネットワークについて勉強を始めたい人におすすめです。また、CCNPはCCNAよりも高度な知識が求められ、認定されれば深い知識や高い技術があることを客観的に証明できます。
3.ネットワークエンジニア(保守運用業務)の求人・案件の探し方
ネットワークエンジニア(保守運用業務)として働きたい人の中には、どのように求人を探したらよいのか悩んでいる人は多いと見られます。
ネットワークエンジニアの求人の探し方として、以下の2つの方法が主にあります。
転職エージェントを利用する
求人サイトを利用する
それぞれ確認していきましょう。
転職エージェントを利用する
ネットワークエンジニアに未経験から転身したい人、自分に合った企業を効率的に探したい人には転職エージェントの活用がおすすめです。
転職エージェントを活用すれば自分が希望する条件やこれまでの経験、適正などを踏まえて、採用の見込みがある企業を紹介してもらえます。
エージェントによって扱っている求人の内容や対象としている求職者が異なりますので、自分に合ったエージェントを利用するのが転職に成功するコツです。
特に、未経験の人は未経験者向けの求人が多い転職エージェントや数多くの求人を扱っている転職エージェントがおすすめです。
求人サイトを利用する
ネットワークエンジニアの求人は総合型の求人サイトやIT業界の求人に特化した求人サイトなどに掲載されています。
ネットワーク保守運用の求人は増加傾向にあるため、求人を見つけるのは比較的簡単でしょう。
自分で探すのは少々手間に感じるかもしれませんが、スキマ時間などを活用して自分のペースで求人を探せます。本業が忙しく、転職エージェントの担当者と面談をする時間を取りにくい人におすすめです。
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4.ネットワークエンジニアの平均年収
ネットワークエンジニアとして保守運用業務に携わりたい人の多くが気にしている点の1つとして、この職業の年収事情が挙げられます。とはいえ、ネットワークエンジニアと一括りにしても、雇用形態や働き方によって年収は異なるため一概にはいえません。
ネットワークエンジニアの平均年収について、以下の2つの働き方別に解説します。
正社員の場合
フリーランスの場合
それぞれ確認していきましょう。
正社員の場合
正社員のネットワークエンジニアの平均年収は450万円~550万円程度といわれています。
IT業界の中では高いわけではないものの、生活していくには問題ないといえる年収です。また、経験を積み、キャリアアップすることで年収を上げることも可能です。
フリーランスの場合
フリーランスエンジニア・ITフリーランスの案件・求人・仕事をまとめて検索できるフリーランスボードによると、ネットワークエンジニアのフリーランス案件・求人の月額単価の平均は69.5万円になります。なお、年収の目安は835万円です。
フリーランスは正社員と比べて安定性に欠けるものの、やる気や実力しだいで収入を1,000万円以上にすることも大いに可能です。
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5.ネットワークの保守運用に未経験者は携われる?
結論を先に述べると、未経験者がネットワークエンジニアに転身できる可能性はあります。特に、第二新卒や20代がIT業界未経験であってもネットワークエンジニアとして働けるケースは珍しくありません。ネットワークの保守運用は比較的容易であり、未経験者も参入しやすいためです。
ただし、30代以上の人や状況によっては第二新卒や20代であっても、未経験、かつITの知識がないと内定を得にくいこともあります。
未経験からネットワークエンジニアに転身を成功させたい人には、自分で勉強し、ネットワークとインフラ関連の知識を習得することをおすすめします。初心者向けの入門書などを読むことで、ある程度の知識を習得できます。
その上で、ネットワーク関連の資格を取得するとよいです。資格を保有していれば、自身のスキルを応募時や面接時に客観的に証明できます。
ネットワークの保守運用に携わったことがなくても、資格があることで適正や見込みがあると判断されるでしょう。
6.ネットワークエンジニアはやめとけと言われる理由
ネットワークエンジニアへの転身を希望する人に対して、やめとけといったネガティブな意見もあります。このように言われる大きな理由としては、仕事が不規則で、体力的にも大変だと感じる人が多いためです。
ネットワークは24時間365日の稼働が前提となっており、かつメンテナンスは深夜に行うのが一般的。深夜に監視や作業にあたることもあるため、在籍した企業によっては夜勤必須となることもあります。
また、トラブル発生時に迅速な対応が求められるため、勤務時間を大幅に超過することもあります。ネットワークにトラブルが発生したら次の勤務日に対応するというわけにはいかず、すぐに復旧作業に入る必要があります。日勤であっても、復旧までに時間を要すれば、帰宅時間も遅くなります。
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7.まとめ
ネットワークの保守運用業務は専門的な仕事であるためスキルアップしやすく、安定的な収入を見込めます。ネットワークエンジニアは自身のキャリアプランを立てやすいので、IT業界で長く働きたい人にもおすすめできます。
また、ネットワークエンジニアはITインフラを支える大きな役割を担っているため、やりがいも感じやすいでしょう。
ただし、ネットワークは24時間365日の稼働が前提となるため、人によっては深夜や早朝の勤務を負担に感じることもあります。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。